日記「遊園地×脱出」
脱出ゲームをしたのは昨年の冬である。場所はグリーンランド。熊本県唯一の遊園地である。それも遊園地の敷地全体を使った脱出ゲーム。規模がでかい。時間は夜6時ぐらいからだったか。既に日は傾き、野外ステージのスポットライトのみが辺りを照らす。
一緒に参加したのは、私の彼女と演劇の先輩エム氏。彼女と私は脱出ゲーム初体験。一方、エム氏はこれまで数多くの脱出ゲームに赴いては脱出に成功してきた猛者である。
このエム氏。凄かった。
最初の謎。三本の映像が流され、その映像の中に次赴くべきヒントが隠されているというもの。映像はリピートで流されるため、基本は何度も視聴して謎を解き明かすのだろうが、エム氏は違った。
二本目の映像が流れている途中。まだ、皆が映像と解答用紙とをにらめっこしている最中。おもむろに立ち上がり、一言。
「行こうか」
いやいやいやいや、待ってくれ!せめて、解き方や答えは教えてくれ!との思いが伝わったのかどうかはわからないが、
「歩きながら説明するよ」
とエム氏。もはや早歩きである。もちろん次行くべき場所など見当つかないので、エム氏についていく他ない。我々が移動をはじめると、会場がざわめいた。
「まじか」「早い」「すげえ」「ええー!」
快感。悦楽。確実に私たちはエム氏というチートキャラと行動を共にしている。学園バトルもののチーム戦だったら、まさしく優勝候補。そんな強キャラ(の威を借りた)な我々は、全てのチェックポイントをほぼ一番(たまに二番)で通過した。
最後の謎は、ひとひねりあった。最後ということもあってラスボス。ミスリードがあるのだ。しかしこの謎は、彼女のヒラメキによって見事正解。まさしく、チームプレーを見せつけ我々の超高速早歩き脱出ゲームは幕を下ろした。
私はマッピング、ナビゲート係として戦力になったと思っている。