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牛乳を果てしなく煮詰めて古代のチーズを作る

牛乳をゆっくりゆっくり煮詰めていくと
次第にとろみを帯びてきて
さらに煮詰めるとぷにゅんとかたまって
カップ一杯の牛乳が小さなスプーンでやっとすくえる量に。
夢とうつつの狭間のような儚い甘さ。
牛乳ってこんなにも優しい。

これが蘇(そ)という日本最古のチーズの素。
この状態からもっと煮詰めて淡いキャラメルのように色付いてきたら、火から下ろして乾燥させる。
日本書紀には天智天皇の時代、これが献上されたとの記録があり、貴族や皇族たちの滋養強壮食として摂取されていた貴重な食べ物。

焦げ付かないように弱火でそっとそっと、ひたすらゴムベラで撫でながら煮詰めるという気が遠くなるような作業。
私はいったい何をしたいのか。。。
ゴムベラを投げたくなる瞬間が数回くる。
もう気分転換にホットミルクで飲んでしまおうと取り返しのつかないことを思ったりするが、それを乗り越えると、ゴムベラの向こうにフライパンの底がくっきりと現れる。
ついに飛鳥時代まで遡った。
そこからはあっという間。

昨今の時短スイーツレシピには絶対にない作り方だ。
遥か1300年の時を経た古代のチーズを再現すると思えば、かなりの時短スイーツだと思うけど。

蘇・ローズマリーソルトを添えて

カップ一杯なら気が遠くならずに楽しめますのでぜひお試しください。

 蘇
●材料
牛乳 200ml

●作り方
テフロン加工のフライパンに牛乳を注ぎ、ごくごく弱火にかけてゴムベラで川の字を書きながら、20分ほど煮詰める。
ラップを広げて移し、きんちゃく型にまとめて、常温または冷蔵庫で落ち着かせる。

※写真はゆるめに仕上げてスプーンでかき集めました。
ローズマリーの花を塩漬けにして添えています。

#牛乳レシピ

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