見出し画像

2023/2/26 今週の米国経済指標まとめ

★ 今週の米国の重要経済指標を簡単にまとめてみました。


① 2月 総合PMI(速報) 2/21

● 総合PMI速報値
結果 50.2 前回 46.8

★ 2/21発表、米国購買担当者指数(PMI)の2月の速報値は、総合で、前月から3.4ポイント上昇して50.2となり、好景気、不景気の境目である50をわずかに上回り、8カ月ぶりの好景気水準となりました。

 サービス業部門PMIは、46.8→50.5 と一気に持ち直しました。
 
★ 購買担当者の意見が数値化されているだけあり、今回の結果は強い価格設定力(安売りしない)や現場の雇用環境(失業率、賃金インフレ)の下支えとなり、現状の米国ではインフレの長期化要素となり、利上げマップに影響が出る事となりそうです。

 結果を受け、米国10債利回りは2/22現在で3.925%まで上昇。依然ドル高継続米国株にとってはマイナス要因

出典元  TRADING  ECONOMICS

② FOMC議事要旨 2/23

★ FRBが2/23公表したFOMC議事要旨の要約として

1.インフレ率が2%に向けて持続的低下基調にあると確信するまで景気抑制的な政策スタンスを維持する

2.景気減速やリセッション(景気後退)よりもインフレの高止まりを懸念している

3.2023年内の利下げ可能性は後退している

パウエル議長

 連邦準備制度理事会(FRB)が公表した議事要旨では、「今後のデータを受けてインフレ率が2%に向けて持続的な低下基調にあると確信するまで、景気抑制的な政策スタンスが維持される必要があると参加者は認識した。確信に至るまでにはいくらか時間がかかる可能性が高い」と記された。
 
 議事要旨は当局が景気減速やリセッション(景気後退)よりもインフレの高止まりを懸念していることを示唆している。

  議事要旨は「インフレ見通しの上振れリスクが政策見通しを形成する上で引き続き主要な要因であり、インフレ率が2%にはっきりと向かうまで、景気抑制的な政策スタンスを維持することがリスク管理の観点から適切であると、参加者は総じて指摘した」としている。

  この会合の前まで、短期金融市場では2023年後半の利下げが予想されていた。会合以降は、FOMCが政策を転換し年末までに利下げを始める可能性が後退した。

出典元 Bloomberg 2/23

③ GDP国内総生産【改定値】10-12月 2/23

● 米国10-12月期GDP【改定値】前期比
結果 +2.7% 
前回 +3.2%(7-9月期)

★ 予想外に速報値+2.9%から下方修正され、7-9月期からは-0.5%と伸びが鈍化された結果になりましたが、依然として好景気水準の数値です。

 比較対象として、他国の10-12期GDP前期比(QOQ)は、日本+0.2%、EU+0.1%、インド+0.8%、と米国がいかに好景気かわかる指標です。


④ 個人消費支出 PCE 2/24

● PCEデフレーター 
 結果 +5.4%  先月 +5.3%

● コアPCEデフレーター(食品とエネ除く)
 結果 +4.7%  先月 +4.6%

★ 市場予想と先月実績も上回り、個人消費が減少するどころか増加。

 2月に入り、月初にFOMCを迎え、「インフレはピークを超え、和らいでいる」との意見が大方の認識でしたが、雇用統計を皮切りに、CPI、小売売上高、PPI、PMI、GDP、PCEと市場予想を上回る結果を経て、CME Fedwatch利上げ観測マップに修正が見られました。

★ FRBは少なくともあと3回の利上げを実施する確度が高まり、より長い期間にわたり金利を高水準に維持、年内の利下げの可能性も低下しました。

出典元 CMEのFedWatch ツール

 米国PCEデフレーターは、個人消費支出(PCE)の価格変動を測る指標で、米国のインフレ率を判断するためにFRBが重視しています。
 
 数値は名目個人消費支出を実質個人消費支出で割って算出されます。その数値の変化率がプラスであればインフレを示し、マイナスであればデフレを示します。CPIと比べて調査対象が広く、指数の計算方法も異なります。


⑤ まとめ

● 今月の重要経済指標は「本当に景気後退は来るのか?」と思わせる程の結果となり、米国経済の堅調さを物語っています。

● PCE(個人消費支出)指数の上昇からも需要が衰えていない事が伺え、「インフレ退治は簡単ではない」とFRBは再認識した。

● 次回FOMC(米国連邦公開市場委員会)は3/22開催で、その間までに、2月の雇用統計、CPI、小売売上高、PPI発表がある為、指標結果に鈍化が見れれなければ、高金利水準はさらに長期化する可能性はある

● 2/25現在で、
米国10年債利回りは 3.947% と4.000%目前
ドル円為替は 136.47円 と昨年末の水準まで

● 米国株は今週主要3指数とも2%以上の下げとなりましたが、植田日銀総裁候補、所信聴取の「金融緩和の継続は必要」発言の影響もあり、相対的に円安に振れた為、日本人の米国株投資家にとっては資産の目減りは相殺された形になった。


⑥ 個人的意見

● 今月の米国経済指標に関して、個人的には歪に見えてしまい、2~3ヵ月後には、雇用過多、在庫超過に一気に沈む事も有り得るのではと思ってしまいます。

● 根拠として確かなものではありませんが、米国国民が「不況が来ると思っていない」事により、個人支出を控える事をせず、衝動的消費が需要を呼び込んでいるのではと推測します。実際に売れているのだから「まだ、大丈夫だ」と雇用と在庫を抱え、ふとした時に一気に反動が来るのではと考えます。

● 市場参加者の対応としては、長い目で見れば、直近の下落局面は「買い増し」の局面とも言え、自身の投資目的やスタイル、力量に合った対応をすれば良いのではと考えます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?