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絵 と 共 に 生 き た 人 生  夫 の 従 兄   🌿 8 2 歳 す み か の 部 屋



 

 夫の従兄は、90歳頃までの生涯にわたり、高校で美術の教員として働く傍らも、故郷の風景を描くことに、情熱を傾け続けました。

 彼は、故郷の自然の美しさをそのままキャンバスに写し取ることを生涯の使命とし、季節ごとに訪れる景色を丹念に描きました。



 

 彼の制作のモットーは、描きたい場所に出向くことでした。

 美しい風景を残そうと、現場で感じた思いを絵画に込めることで、彼の作品には特別な魅力がありました。



 

 彼からは生前、彼が上京した折や、夫が帰省した折に、絵の贈り物をいただきました。

 現在、建て替えた我が家の壁には、まるでギャラリーのように、彼の作品が飾られています。

 それらは、故郷の山を描いた五点の油絵で、四季折々の景色が鮮やかに表現されています。

 彼は写真を参考にすることなく、必ず現地に足を運び、その場で絵を完成させていました。

 晩年になり、歩くのが困難になっても、伴侶の助けを借りながら、そのこだわりを貫き通しました。



 

 特に、冬の厳しい寒さの中で山を描くことは、並大抵のことではなかったようで、息子さんが「冬山の絵は数が少ないので、その絵はとても貴重です」と語ったことが心に残っています。

 冬山の厳しさと美しさを同時に表現するその作品は、彼の努力と情熱が詰まった一点です。


 

 また、彼から届く年賀状は毎年、故郷の景色を版画で刷ったものでした。

 同じ山を描いていても、毎回異なる絵柄で、それが当時の私の楽しみであり、今も大切に保管しています。

 年賀状を眺める度に、絵に込められた故郷の風景への彼の思いを感じ、心が温まります。



 彼の作品は、ただの絵ではなく、彼の人生そのものを映し出しています。

 故郷の自然と共に生き、その美しさを描き続けた彼の姿勢。

 晩年は手足が不自由で車椅子の生活ながら、屋外に出て描き、右手が動かせなくなるまで頑張ると意欲を燃やしていた姿が印象的でした。

 彼はいつも、現場にいるような雰囲気を感じてほしいと語り、その思いを絵画に込めていました。


 

 我が家に飾られた作品を見るたびに、込められた彼の思いが蘇ります。 

 彼の絵は大切な宝物であり、彼との思い出を深く刻んでいます。






彼の作品の数々









 













冬 の 北 壁  

油 絵   





   📞 音 声 記 事






 


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🌿82歳すみかの部屋 79歳で突如思いつき “ 庭と繋がる小さな平屋 ”に建替える 年金一人暮らし
生きとし生けるものすべてに 安寧が 陽の光のごとく 訪れますように