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読む本のジャンルが偏ってしまうあなたに - ミステリー編

こんにちは
takataroです。

本は読むけど、なんだかジャンルが偏りがち
新しいジャンルの本に挑戦してみたいけど、何から読んでいいのかわからない

こんな悩みをお持ちの方はいませんか?

このコラムでは、特定ジャンルの本を一冊ずつ取り上げて紹介していきます。
読書の幅を広げるのに少しでもお役に立てるよう情報を共有していきたいと思います。

今回はミステリーです。

個人的にはSFと並んであまり読まない分野になります。
一応日本の作家だと、東野圭吾や伊坂幸太郎の作品はチェックしていますが、綾辻行人や森博嗣などはその他の有名な作者のものはあまり読めていないです。海外の作家に関しては、読んだのはアガサクリスティやコナンドイルくらいでしょうか。

私の場合は、謎解きがあまり得意でないということもあり、推理しながら読むというよりは、普通の小説と同じように物語を読むという形になってしまいます。

そんな私が紹介したいミステリーは

レイモンド・チャンドラー『高い窓』,村上春樹訳,ハヤカワ文庫

です。

サクッと読める本というよりは、腰を据えてじっくり味わうタイプの本です。

シリーズもので、どちらかというと『ロング・グッドバイ』や『大いなる眠り』の方が有名で、題名くらいならみたことあるよという方も多いかと思います。

作者のレイモンド・チャンドラーはアメリカシカゴ出身の作家で、処女長編となる『大いなる眠り』を1939年に発表しています。

この本の主人公はフィリップ・マーロウという私立探偵です。シリーズを通して、だいたい彼の元にややこしい依頼が舞い込みます。(依頼者もややこしいことが多い)
調査を進めていく中で、首を突っ込みすぎたり、生来のタフな性格と言動が災いして、大概脅されたり、多少の痛い目に遭ったりしています。

この『高い窓』でも、資産家の老女から依頼が舞い込み、調べていくうちにだんだんとややこしい事件に巻き込まれていきます。

この作品、読んでいると映像が浮かんできて映画を観ているような感覚になります。
文章のテンポと写実的な表現がそう錯覚させるのかもしれません。

また、主人公マーロウの"気の利いた"返しにも注目してみてください。最初はまわりくどい言い方するなと思うかもしれませんが、少しずつクセになっていきます。

私が特に好きなのが、クライマックスのシーン
です。

 その家が視界から消えていくのを見ながら、私は不思議な気持ちを抱くことになった。どう言えばいいのだろう。詩をひとつ書き上げ、とても出来の良い詩だったのだが、それをなくしてしまい、思い出そうとしてもまるで思い出せない時のような気持ちだった。

レイモンド・チャンドラー『高い窓』,村上春樹,早川書房,二〇一六年九月十五日発行,三九七ページ

むしろこの文章を読むためにそれまでのストーリーを読んでいる感もあります。
アニメ「カリオストロの城」で最後の銭形警部の名セリフを待つ時の感じに似ています。
そう感じるの私だけかもしれませんが

皆さんも一度読んでみてはいかがでしょうか?

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