読む本のジャンルが偏ってしまうあなたに - SF編
こんにちは
突然ですが、
本は読むけどなんだかジャンルが偏りがち
新しいジャンルの本に挑戦してみたいけど何から読んでいいのかわからない
こんな悩みをお持ちの方はいませんか?
このコラムでは、特定ジャンルの本を一冊ずつ取り上げて紹介していきます。
読書の幅を広げるのに少しでもお役に立てればと思っています。
今回取り上げるのは、サイエンスフィクション(以下SFと略)です。SFは未来の出来事について描かかれていたり、また地球外のことも取り上げられることが多いです。そのため、なかなかとっつきにくいと思われている方も多いのではないでしょうか?
私自身「三体」(劉慈欣によるSF小説)など話題になった作品をチェックするにとどまり、手が伸びにくいジャンルになります。
そんな私が今まで読んだ中で、個人的にとっつきやすく面白かったSF作品をご紹介したいと思います。
それは
アイザック・アシモフ 小尾芙佐訳
「我はロボット」早川書房
という作品です。
作者のアイザック・アシモフ(1920-1992)はアメリカ合衆国の作家、生物化学者です。
原作の「I , ROBOT」は1950年に発表されたものですが、内容は現代の私たちが読んでも全く違和感のないものです。
むしろ技術進歩、機械化が進み、AIなどが話題にあがる昨今だからこそ興味深く読める部分があります。
この作品はまずロボット工学の三原則という考えが述べられるところから始まります。
ロボット工学の三原則とは
この三原則は後にSFの枠を超えてロボット工学の考えにも影響を与えたようです。
ストーリーは雑誌記者がロボット開発の権威に取材し、様々なエピソードを聞く形で進んでいきます。
章ごとに話が完結する短編形式になっているので読みやすいです。
各章はいずれもロボット工学の三原則をベースにストーリーが展開されていきます。
登場するロボットはいずれもこの三原則に従うようにプログラムが組まれており、当初それらロボットは問題なく作動しています。
ちなみに三原則は、
第一条 > 第二条 > 第三条
の強さで遵守するようになっています。
一見すると三原則はそれぞれが独立した規則で相反することなく成り立っているように見えます。
しかしながら、解釈の違いや一定の条件下に置かれた時に矛盾が起こり、ロボットが人間の予想と違う動きをしてしまいます。
予想と違う動きとは例えば、ロボットが急に同じ動きを繰り返したり、意味不明な発言するなどです。
人間の立場から見るとロボットの故障にしか見えないこれら動きが、調査を進めていく中で実は故障ではなく、三原則に従ったものであることが明らかになっていきます。
この不具合の原因が明らかになっていくプロセスが、緻密かつ知的でとても面白いです。
また、ロボットが人間の仕事を奪っていると一部の人間から敵意を持たれるなど、現代と共通する考え、感覚が各所に見られます。
逆にいうと70年以上前とそんなに大きく考えが変わってないとも言えます。
翻訳もとても秀逸で、全く違和感のない非常に読みやすい文章となっています。
少しでも興味を持たれた方は書店や図書館で手に取ってみてはいかがでしょうか。