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ドラクエ3リメイク10時間レビュー。少年時代を思い起こさせる最高のリメイク。

今回は2024/11/14に発売された「ドラゴンクエスト3 そして伝説へ」の10時間レビューを行っていく。ゲームとしては序盤が終わり、本格的な冒険が始まる中盤に突入したところだ。そのため、インプレッションレビューとして、ネタバレなしでの感想や、購入を迷っている方への一押しとなるレビューにしていきたいと考えている。

とはいえ細かいことは置いておいて、まず始めに一つ伝えたい。それは「このゲームは間違いなく買い」だ。今作は細部まで非常に丁寧に作られた最高のリメイク作品となっている。
原作が持つ「RPGとしての完成度の高さ」という部分をそのまま継承しながらも、それを更に奥深くするシステムの追加や、豪華になったグラフィックとBGMによって、令和でも通用する最高のRPG作品だと思う。

大人になると、日々仕事に追われて趣味の時間が減り、子供の頃のようにワクワクするようなことは減ってくる…急にこいつは何を言い出したんだ、と思われる方もいるかと思うが、本当にそうだと思う。考えなければならないことが増え、昔のようにピュアな気持ちでゲームに向き合うことができない場面も多々ある。
だが、今作を遊ぶことで、少年だった自分が戻ってきた。朝起きてまず頭に浮かぶことは「ドラクエやりたい!」だ。会社の通勤中や空き時間にも「帰ったらまず、レベル上げして武器を買わないと、いやその前に取り忘れたアイテム取りに行くか、そうだマップのあの場所も行ってないじゃん!」みたいなことを永遠と考えている。それはそうだ、今自分は会社で働く傍らで、世界を救う冒険に出ているのだから。完全に心は勇者気分だ。このワクワク感こそがドラクエなのだ。何故ドラクエってこんなに魅力的なのだろう、と本当に思う。この魅力を言葉にすることは難しいのだが、本記事で少しでも理解していただけたら幸いだ。

では今作の魅力を具体的に項目別で紹介していく。


シンプルだからこそ光るドラクエ3の魅力

ドラクエ3を遊んでいて思うのは、本当にシンプルなゲームだ。色々な要素が複雑に絡み合うことで素晴らしいゲーム体験を届けている昨今のゲームを遊んでいると、「シンプル」というワードがマイナスに聞こえてしまうかもしれない。しかし、シンプルということは、それだけ複数の要素がとっ散らかることもなく、作品の売りの部分がダイレクトに光るということだ。

では、今作の売りの部分とは何だろうか。それは「世界を救う冒険」だ。主人公とその仲間たちは、世界を救うために世界中を巡る冒険に出る。その中で立ちはだかる数々の敵を倒し、様々な文化を持つ多様な世界を巡り、最終的には魔王を倒す。ストーリーで関わったキャラに「○○のアイテムを3つ取ってきて欲しい」みたいなお使いを頼まれることは全く無い。何かちょっとした話をするために、地獄のように長いダンジョンやバトルを攻略させられることもない。物語の一番最初に王様から「世界の平和を守るために魔王バラモスを倒してこい」という超明確なゴールが与えられ、そのためにプレイヤーは直面する課題に一つ一つ対処しながら、魔王討伐のために最初から最後まで走り抜ける。ここまでシンプルだからこそ、プレイヤーのモチベーションが保たれるし、「あれ、今何のためにこれしてるんだっけ?」となることなくゲームを純粋に楽しめる。

ではドラクエ3が考えることの少ない一直線のゲームなのか?」と聞かれるとそうではない。ちゃんとプレイヤーが悩み、迷うポイントが沢山ある。例えば、仲間キャラの職業の選択だ。今作には職業が10種類ほどあり、攻撃や守りが得意な戦士と武闘家、仲間を回復やバフで補助する僧侶、敵の属性をついて大ダメージを与える魔法使い、冒険の道のりを楽にしてくれる盗賊や商人など、本当に沢山の職業が用意されている。

この仲間の職業の選択によって、自分の冒険が大きく左右されるため、非常に悩みどころだ。また、途中で職業を変えることもでき、今まで覚えた技や魔法を引き継げるため、どの職業同士を組み合わせて最適なキャラをビルドするかという悩みもある。
他にも、世界の巡り方の選択(ストーリーをある程度進めると、世界を自由に冒険できるようになるので、どこにどの順番で行くかを自分で考える)、武器の選択(攻撃力を重視して敵単体攻撃武器を選ぶか、攻撃力は劣るものの敵全体を一掃できる武器を選ぶか、などを考える)など、本当に悩むことは尽きない。これら全てが「魔王を倒して世界を救うため」という明確な目標のために存在している。これこそがドラクエ3の持つ「シンプルさ」という大きな魅力なのだ。

懐かしさと新鮮さが同居する丁寧なグラフィック

今作は36年前のリメイクというだけあって、グラフィックの進化は半端ではない。ただ綺麗になったわけではなく、昔のドット絵が持つ温かみのある雰囲気をしっかりと残してある。ファミコン時代のドラクエにあった、赤紫色のお城の床、蛍光緑の草、ダンジョンに設置してあったよく分からない石像など、全てが現在風にパワーアップしている。

それでいて、細かいディティールにまで非常に丁寧に作ってある。窓から差し込む光、綺麗に反射する水面、主人公が持つランタンによって主人公の周りがボヤっと明るくなる雰囲気、静かに揺れる暖炉やろうそくの火、細かく描かれた草や木々、街の遠くに見える山々、本当に上げだしたらキリがないくらいに作られている。今作はヨーロッパ風、和風、イスラム風のような多様な文化を持つ町が沢山あるため、それぞれの町の雰囲気を再現するための建築物や照明のこだわりも感じることができる。

また、マップのグラフィックも良い。原作のマップは、主人公たちを上から見下ろすような平面的なマップになっていたのだが、今作(リメイク)のマップは少し斜め上から見るような形になっていて、遠景にある山々が見渡せるようになっている。これによって世界が広がっている感覚が自然と伝わってくる。マップ自体も凹凸があって立体感があり、サイズ感が大幅にパワーアップしている。そして遠景をぼやかして表示することで、広大な世界を演出している。

こういった小さな工夫が積もりに積もって画面の見栄えが最高に良くなる。懐かしさと新鮮さを上手いバランスで融合させた素晴らしいグラフィックだ。

現代風にアップデートされたゲームプレイ

今作は基本的に原作のドラクエ3に忠実なリメイクとなっている。しかし、細かい部分では原作よりも非常に遊びやすくなっている。

例えばマップ面だ。前項でも少し触れたが、今作のマップはかなり広大になっている。ただ広くなったわけではない。マップの色々な場所にアイテムが落ちているスポットがあり、そこで装備やアイテムが手に入る。こういったスポットを見つけていくことで、街で買い物をするときのお金を節約することができる。マップを積極的に探索したくなるメリットがしっかり用意されているのだ。こういった工夫により、気づくとマップをある程度の時間探索しているので、レベルもいつの間にか上がっている。また、ダンジョンでの敵とのエンカウント率も上がったため、ダンジョン探索だけでかなりレベルが上がるようになった。原作のように、レベルを上げるためだけの時間が無くなり、楽しく探索する時間とレベル上げの時間がセットになることでストレスフリーになった。

他で言うと、キャラの育成面だ。今作は原作よりもレベルの上がるスピードがかなり速くなっている。それによってキャラのHPやMPがガンガン増え、序盤から攻撃呪文や回復呪文をガンガン覚えていく。これによってキャラの成長を分かりやすく実感できるし、序盤から戦略性のあるバトルをすることもできる。そして今作では技も追加された。職業によって覚える技も攻撃から補助まで多種多様なので戦略性も強化された。結果的に、原作よりも戦闘の楽しさが倍増した。

その他にも、次の目的地の案内があったり、アイテム管理面の機能が強化されたり、冒険を快適に進める機能面も豊富だ。しばらくゲームを遊んでいなかった方も安心して遊べるようにできているし、最近のゲームを遊んでいる人でも古臭さを感じずに遊ぶことができるようになっている。

オーケストラでアレンジされた豪華なBGM

今作の音楽は素晴らしい。原作からドラクエ3はシリーズの中でもトップクラスで名曲揃いだったのだが、それらの素晴らしい楽曲たちがオーケストラによって蘇った。これが尋常じゃないくらいの迫力だ。
特に気に入ったのは、お城のBGMである「王宮のロンド」と、フィールドのBGMである「冒険の旅」だ。王宮のロンドに関しては、バロック調にアレンジされることで城内の厳格な雰囲気が見事に表現されている。冒険の旅に関しては、コメントする必要のないくらい有名な曲だが、もう最高だ。勇者の勇敢さが伝わってくるような曲調で、少年の頃の冒険心を思い起こさせてくれる曲だ。他の楽曲も前奏がつくことで豪華になったりと、耳だけで楽しませてくれる。やっぱりスクエニのRPGはBGMが素晴らしい。

そもそもドラクエ3は原作から神ゲーだった

今作を遊んでいて思うことは、今見てみてもドラクエ3は原作から完成されたゲームだった、ということだ。
特に感じたことは序盤の展開だ。序盤は小さな島からスタートするのだが、この小さな島で、マップと街の探索、戦闘、キャラ育成、ダンジョン攻略、アイテムや装具のやりくり、といったような今作を構成する基本要素を学ぶ。その後に広大な世界に出て、より自由な冒険をしたり、様々な強敵に挑んでいく。ゲームを遊びながらも、プレイヤーにチュートリアルを自然とさせるという素晴らしい導入だと思う。これは今のゲームでは当たり前のことなのかもしれないが、今作は1988年2月10日に発売されたゲームだ。チュートリアルという概念が無い当時の時代に、このようなことをやっていたドラクエ3が如何に先進的だったかが分かると思う。他にも、職業システムやストーリーの構成など、色々なゲームのお手本にもなる要素が多数あり、それらがFFシリーズを初めとする他のRPGシリーズにも影響を与えていったと考えると、この令和の時代に今作が復活したこと自体が考え深い。

まとめ

まとめると、今作は原作が持つ魅力を継承しながらも、それらを現代風にアレンジして復活させた神リメイクだ。どんな人にもオススメできる完成度の高い作品だ。当時ドラクエ3を遊んでいた人は間違いなく買いだし、ドラクエを遊んだことのない人は初めて遊ぶドラクエとしてオススメだ。また、ゲームを全く遊んだことのない人にもオススメできる。

他にも本記事で書き足りない今作の魅力が沢山あるが、世界を救うために勇者としてゲームに戻らないといけないため、今回はここまでにしておく。
ぜひ皆さんも勇者になり、ワクワクする冒険に出かけてほしい。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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