中年じじぃの(愉快な)主張vol.34
やめたことについて ②(無期限パスと雑木林について)
2024/11/23
以前、人生でやめてしまったこと、というテーマでTVゲームのことを書いた。それに続いて、今回はマンガやアニメのことを書いてみようと思う。
ただしこれらは正確に言うと、見るのをやめた、というより、遠ざけている、というべきかもしれない。
TVゲームと同じで、面白いのは分かりきっているからだ。
何にでも浅く広く手を出す、軽薄な多趣味人間である私は、とにかくひとつのジャンルに囚われてしまうのが怖いのだ。
それくらい、マンガやアニメは面白い。
人生がそれ一色になってしまうほど面白い。
マンガ喫茶なんか、いちど足を踏み入れたら、出てこれないだろう。富士の樹海だ。
しかし私だって子供のころからマンガやアニメを遠ざけていたわけではない。
むしろ、どっぷりと浸かっていた。
〝ドラえもん〟はもちろんのこと、〝銀河鉄道999〟も〝うる星やつら〟も、マンガ・TVアニメ両方ともハマった。
小学生のころは毎日〝無期限パス〟を持って通学バスに乗っていた。もちろん卒業と同時に期限は切れた。
初恋の人はメーテルだが、もちろん恋は成就しなかった。当たり前だ。むこうは2次元、こっちは3次元なんだから。
それでも中学生のときに観た映画版999で、ボロ泣きした記憶がある。
きっと純粋な男の子だったのだろう。
(それがなぜこんな大人になったのだろう)
とにかく、成人する頃にはマンガ・アニメの樹海から抜け出すことを決め、今に至っている。
その樹海に再び入ったら、たぶん残りの人生の多くの時間を費やしてしまうだろうと恐れたのだ。
軽薄多趣味人間の私にとって、他のいろんなことができなくなるのが怖かったのだ。
マンガやアニメは、老後の楽しみにでもとっておこう。
だから映画好きな私も、アニメ映画には手を出さずに耐えている。
だって宮崎駿なんて、初期の〝未来少年コナン〟や〝カリオストロの城〟があんなに面白かったんだから、以降の作品はもっともっと面白いに決まっている。
そしてそれは事実のようだ。あぁ恐ろしい。 怖いものには近寄らないのが私のモットーだ。
だがしかし。私はいま困っている。
文庫本や新聞を読むのが少しばかりツラくなってきた、老眼一年生の私に、このごろちょっと浮気心が出てきたのだ。
長い物語性のない、単発の話ばかりのシリーズものならどうだろう。現に散髪屋で読んだ〝ゴルゴ13〟や〝こち亀〟には、「樹海」のような恐ろしさは感じなかった。
せいぜい、「雑木林」だ。
だいたい、新聞の4コマ漫画だってマンガじゃないか。一部のTVCMや〝みんなの歌〟だって、アニメといえばアニメだ。
樹海の奥深くにさえ入らずに、雑木林で遊んでいれば大丈夫だ。
そういうわけで近ごろの私は、雑木林の入り口に立って逡巡しているのだ。
ところで、マンガ喫茶を〝マン喫〟とは言わなくなりましたね。インターネット・カフェ→ネットカフェ→ネカフェ、などと呼ぶようだ。
樹海のようなマンガの森の中で、心ゆくまで〝マンキツ〟するという感じが、いいネーミングだったのになぁ。