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中年じじぃの(愉快な)主張 vol.28
ペットについて(独身男と保健所の保護について)
2024/11/03
前回の続き。
小学生の頃、仲の良い友人の家で、猟犬を飼育していた。
彼の父は、かなり本格的な狩りをしており、その犬(犬種は忘れたが、名前はジョン)は、非常に頭が良かった。
ジョンは主人に忠実で、その振る舞いはペットやパートナーというより、もはや〝助手〟と言ってもいいほどだった。
狩猟のときはもちろん、食事や犬小屋の掃除のときなど、端で見ていて、動物とは思えない雰囲気を漂わせていた。
ジョンは、友人の言うことも非常によく聞いた。
ジョンは、私の言うことは一切聞かなかった。
飼い犬は、周りの人間に序列を付けているという。自分より身分が上か下かを判断して接するのだそうだ。
つまりジョンは私を見下していたということだ。
ジョンよ。あの時はよくも私を見下したな。私だってお菓子をたくさん分けてあげたのに。
仲の良い同僚の一人は、日本の社会で最も不人気な層である〝独身中年男性〟だが、彼はネコが大好きだ。しかし彼は私と同様、見た目がイカツい、危険そうなオッサンだ。
だから彼が〝猫が好き〟と言うと、〝生マグロが好き〟とか〝つくねが好き〟と言うのと同じに聞こえてしまう。
喰われるかもしれない猫たちはきっと逃げる。
私は、彼に言う。
「お前はそれを口にするな。動物愛護団体が来る」
彼は言った。
「でも好きなんです。ペットショップに行くと、その場を離れられないんです」
「ペットショップも行くな。猫たちは保健所職員が来たと思うぞ」
「でもこの気持ちは抑えられないんです。もう私は、ネコを飼います!」
「その気持ちは人間の女性に向けろ!」
そうして彼は中年独身男性のクセに、子猫の飼い主になった。
私は常々、〝独身男がペット飼いだしたら終わり〟と思っている。
何の終わりかは説明できないが、とにかく何かが終わると思っている。
それからというもの、彼は私の呑みの誘いや、旅行の誘いを断り、子猫の飼育に勤しんでいる。
私はまたしても、ペット以下の存在になってしまった。
何かが終わったのだ。
保健所が保護した動物たちは、運が良ければ心優しい飼い主に引き取られるそうだ。
そういえば、少なくとも都市部では、野良犬や野良猫はまったく見なくなった。
でも、旅行すると田舎町や漁港には、野良猫がうじゃうじゃいるのだから、地続きの都会にだっているはずなのに。
それって、保健所が頻繁に保護活動してるんですかね。
そういえば、他にも思い当たるフシはある。
週末や週明けの未明に、ターミナル駅の周辺でよく見かける、道端で寝ている泥酔者(主に中年男性)だ。
彼らは、深夜から未明にはよく見かけるが、通勤ラッシュ時には全くいない。
保健所が速やかに保護しているのではないか。
だが、誰が引き取る?
中年男性の酔っ払いを。
彼ら(いつかそのうち私)は、もしかして身売りされてるのではないか?
中年男性自体は無価値だが、バラ売りなら買い手はつくだろう。
内臓とか眼球とか、ハゲてない人は髪の毛とか。
私はどれだけ酔い潰れても、道端で寝ないことを心に誓い、今日も次の一杯を頼んだ。
そしてつくづく思う。
道端で酔い潰れて寝ていられる日本って、もしかして平和で稀有な国ではないのか?