リーダーなら「TT」マインド でいたい(素敵なリーダーになりたい編_v4-78)
「経営の世界で「利他の心が大切だ」などというと、厳しい経済社会の中にあって、「利他」や「思いやりの心」などで経営ができるものかーそんな批判や反発の声が、かならず聞こえてくるものです。しかし熾烈な闘いがくり広げられるビジネスの世界だからこそ、「相手を思う心」すなわち利他の心が大切です。」
稲盛和夫さんの言葉です。「心」(サンマーク出版)から。稲盛さんの本、沢山出版されていますが、「京セラフィロソフィ(サンマール出版)」含め6冊本棚にありました。中身の詳細は忘れてしまっていますが、素敵な言葉をピックアップできます。利他、とか、心根、とか、謙虚、素直、とか、動機善なりか、闘争心とか。精神的な「強さ」と「やさしさ」が伝わります。
上述の引用もある意味「やさしさ」を謳っているように感じます。ただ、弱々しいとか、八方美人とか、言いなりとか、逃げとかではなく、まさに闘争心を持つ「強さ」をベースにした「やさしさ」。やさしさは強さが無いと実現できません。それにこちらが提供する「やさしさ」が相手にとってどう思われるかは分らない。だから非常に難しい行動です。
でも、やさしさは全ての上に存在していると思います。
「”やさしさに勝るものはない” 馬がいった。”すべてのうえに、しずかに存在している”」(「ぼくモグラキツネ馬」チャーリー・マッケジー著、川村元気訳、飛鳥新社)。経営・組織本ではないけど、リーダーシップはやさしくあるべきと謳っている。
「人生で大切なたったひとつのこと」それは「やさしさ」(「人生で大切なたったひとつのこと」(ジョージ・ソーンダーズ著、外山 滋比古、佐藤由紀訳、海竜社)ベストセラー作家ソーンダーズの卒業生に向けた有名なスピーチ。
「スターは、自分がトップになりたいと願う。リーダーは、チームのみんなをスターにさせたいと願う。」「リーダーの本当の評価は、どのように仲間を奮い立たせたかで決まる。」「私たちの人生の価値は、自分のために何をするかでは決まらない。私たちの人生の価値は、他者のために何をするかで決まる」「本当の力は、自分の弱さを認める勇気から生まれる」(「一緒にいたい」と思われるリーダーになる。」(サイモン・シネック他著、こだま ともこ訳、ダイヤモンド社)
「従業員がリーダーに求めているのは人間らしくあることだ。そして自分たちがありのままに受け止められ、敬意が払われ、耳を傾けてもらい、理解され、一員とみなされることを期待している。それはつまり、リーダーは心を開き、知らないことがあれば知らないと認め、弱さをさらけ出す必要があるということだ。」(「THE HEART OF BUSINESS 人こそがビジネスの核心」(ユーベル・ジョリー著、樋口 武志訳、英治出版)
「腕力とリーダーシップを混同してはならない。真のリーダーシップとは、従わない自由があるにもかかわらず、人々が付いてくることだ。」「偉大な企業を育てるリーダーは~ビジネスに人間味を加えようとする。他者に冷淡で、距離を置き、よそよそしく、関わろうとしない態度は許されない。」「偉大な企業には、すばらしい人間関係がある。」(「ビジョナリーカンパニーZERO」(ジム・コリンズ他著、土方 奈美訳、日経BP)
タフマインドとテンダーマインドの共存です。常に共存。ORではなく、AND。ToughとTenderです。ボクは自分勝手ながら「TT」マインドと呼んでいます。
仕事していて、経営していて、人との関係で、強くやさしくありたいのに揺らぐ時がある。弱く心が乱れ暴力的に、あるいは責任を人のせいにして逃げたくなる。なんてそんな時に、ダメダメ、と思い直すには、TTマインドなんてキャッチーな言葉で自分に言い聞かせたり、時に、心のバイブルのように稲盛さんを読み直す。心が整理される。
経営者は非情じゃ無いとダメだと、とか、やさしい経営者が会社をつぶす、なんてメッセージを読むと、自分の心が揺らぐ。もちろん世の中、正解なんて無く、それぞれが生きてきた経験に制限されて、今の自分の思考のくせ・キャラクターが構築される。だから、やさしさは経営をダメにするも正解だし、強くてやさしいTTマインドのリーダーが組織を発展・継続させる唯一の解、と考えるのも正解だ。
ま、異論、反論、批判的意見は本当にありがたいものだ。それに触れることで自分の考えがより強固になるし、逆に、あれ、自分は間違っていたかも、この新しい考えがよいね、と思い直すかもしれない。ありがたい以外の何者でも無い。
世界80億人以上の人がいるなら、80億通りの考え方のセットがありうる。「非情」でも「やさしさ欠如」でも「独裁」でも「暴力」でも経営はできるし、結果はでる。言葉の定義には常に程度問題が付きまとうので、朝から晩まで誰に対しても非情なのか、ミスに対して非情なだけなのか色々。
結局、何を信じるか。自分が信じるならそれを貫けば良い、それだけの話だ。ボクは強くやさしいリーダーが、リーダーのあるべき姿であり、会社なるものに集う1人1人の個性がわくわく充実した時間を過ごし、みなで成長していく必須ごと、だと思っている。ま、それだけだ。稲盛さんの本を読んで、「ぼくモグラキツネ馬」を読んで、「人生で大切なたったひとつのこと」を読んで、その他の、経営・組織論の本を読んで、実際に経営して、そういう解釈に至っただけ。80億分の1の考え。
でも、それを信じるなら、それでいいですね。
「素敵なリーダー」:
若い頃、AudiのTTクーペが世に出た時、わぁ、素敵!と心を奪われ、初めて買う新車はこれにしようと決めた。ちなみに、好きなバンドはアメリカのTOTO(トト)。こんな語呂合わせ、なんだそれ?無意味、と思うでしょうが、日々、無限な情報が飛び込んで来て、自分が目指すスタイル、方針、ビジョン、To Beなるものをうっかり忘れてしまうものです。でも、語呂合わせすると記憶に残りやすく、他人にも遊び心持って自分というものを伝えられる。TTマインド、タフでテンダー、強くやさしい。日々忘れずに、肝に銘じて会社の仲間と関係を構築・維持していきたい。
こんな素敵なリーダーになりたいですね。