「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ」 を証明する展覧会に行ってきた
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」ってゆう言葉あるじゃないですか。
アメリカ広告界の重鎮、ジェームス・ウェブ・ヤングが残した名言なんですけど。
ぼくこの言葉大好きなんです。
要は、完全に新しいアイデアなんてなくて、既にある要素を組み合わせて新しいものを作るんだ、ということですね。
今回なんと、この言葉を目で見て実感できる展覧会に行ってきました。
「スター・ウォーズ アイデンティティーズ:ザ・エキシビジョン」です。
本展には、映画で実際に俳優たちが着用した衣裳や、作中で使用された小道具、模型、キャラクターの設定を決めるために描かれたコンセプト・アートなど、制作過程を辿れる貴重な展示品が約200点ものボリュームで展示されます。
また、これらの展示品は今後、ロサンゼルスに設立されるLucasfilm museumに収蔵されるため、これだけの規模の展示品を見ることができるのは、日本では最後の機会となります。
東京・天王洲の寺田倉庫G1-5Fにて2019年8月8日〜2020年1月13日まで
開催概要などについては公式サイトを御覧ください。
宇宙船の作り方
スター・ウォーズの旧三部作(オリジナル・トリロジー エピソード4〜6)は1977年から1983年にかけて公開されました。
SF映画なので、宇宙船がバンバン出てきます。
当時はCG技術が未発達で、宇宙船を作って自由に飛ばす、なんてことはできません。
じゃあどうするか?
「撮影用のミニチュア模型(プロップ)」を作って本物のように撮影したのです。
実際に存在する飛行機が出てくる映画であれば、市販のプラモデルでそれらしく作れたかもしれない。
しかし、スター・ウォーズの宇宙船は実在しません。0から組み立てる必要がある。
じゃあどうするか?
市販のプラモデルをたくさん買ってきて、パーツを寄せ集めて、ひとつの宇宙船に仕立て上げたのです。戦車のこの部分はここ、F1カーのこの部分はここ、というふうに。
この技法をキットバッシングといいます。(日本ではミキシングビルドとも)
より詳しく知りたい方は「超音速備忘録」という超面白いブログがあるのでそちらを参照ください。もう一回書いとこう。超面白いブログです。
当時のスター・ウォーズの美術スタッフは、主人公たちの乗る宇宙船のデザインに苦労していました。
ある時ふと、ルーカスと一緒に食べたピザの形を元にミレニアム・ファルコンという映画史に残る傑作機が誕生した、と言われています。
ヴァレリアンというフランスのコミックに出てくる、「The Intruder XB982」がベースになったという話もあるみたい。
ピザに具を盛るように、市販のプラモを組み合わせて新しい宇宙船を作る。
ということで、これはまさしく「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ」ではないかと思うのです。
そしてその宇宙船が今東京に来てる。
上述した、「スター・ウォーズ アイデンティティーズ:ザ・エキシビジョン」だ!
展覧会でミレニアム・ファルコンに会ってきた
写真OKなので撮ってきました。早速銀河の旅へ。
BB-8やボバ・フェットさんがお出迎え。ファンには顔なじみのメンツばかり。中学の同級生に会ったような感覚です。
ひさしぶり。
いよいよミレニアム・ファルコンとご対面。
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ」をこの目で視ます。
ぼくは本物を見るのは人生で3〜4回目かな。
コックピットのキャノピーは、撮影時にライトが反射してしまうため、透明なプラバンを貼ったりせず、穴が空いているのみ。
コックピット横のメカは、車のトランスミッションのパーツかな。
既存の要素の集合で、ここまで面白いものができます。
これは別の宇宙船。プラ板の細切れを貼ってるだけ。
スジ彫りはかなりエモーショナル。
カンディンスキーのドローイングを思わせます。
でも、映画でかっこよく見えればOK。
今すぐ見いこう。今すぐ作ろう。
記事に載せた写真はごくごく一部。展示品は約200点あります。
展示会は2020年1月13日までなので、今すぐ見に行く予定を立てましょう。
「既存の要素を組み合わせ」たら、映画史に残る宇宙船ができたのです。
ぼくたちも作ろうじゃないか。
幸い、「既存の要素」とやらは腐るほどある。組み合わせは無限に近い。
著作権法の範囲内で、この世界をサンプリングしようじゃないか。
ぼくの小学校の頃の夢はILM(ルーカスの特撮スタジオ)で宇宙船を作る仕事をすることでした。
おとなになってから観れて最高に幸せでした。
下記の記事にその話をちらっと書いてます。
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映画を見たり展覧会へ行ったりできて、ぼくが文章を書く資本になります。
しーゆー