3回目のジョーカー:フォリアドゥ②
私は最初から夫に「あのお母さんは要注意だと思うよ。ルックスに騙されて
なんでもやらされない方がいいと思うよ」と再三言っていた。
子だくさんだから協力するとか子だくさんだから「大変だね」って言うとか
それはある程度はありだと思うけれど、尋常じゃない数の子供がいて
どうみても一人一人に手や目がまわっていないように見えて
そこのうちの子供を迎えに行った親からの話によると家も相当きてる・・だったけど、そんなの傍目から見れば明らかだった。あんなに目がいっていない子供が沢山いて家がきれいなわけないじゃん。そんなの火を見るよりも明らかだ。
ただ、そこの家には子供を沢山作った一因であるお父さんがいるのだ。
しかもそのお父さんは自分で社会人バスケチームに所属していて休日はバスケの試合に行っていると言う話も聞いた。
そりゃ自分の休みをどう使おうが勝手だが、自分の子供がサッカーの試合に行けないという状況で他の親に送迎してもらってる間、自分はバスケってどうなの?という話だ。
私は全部想定内だったのでただただ「やめなって。関わるのやめなって」と言いながら傍観していた。自分の子供の送迎はもちろんする。
「お互い様」ができる子供の送迎もする。でもそこの家の子供だけはお断わりだった。大人気ないのかもしれないけれどとにかく嫌だったのだ。
だって、家でダラダラしている旦那がいて、母親はただ「すみませーーん」という顔で乳飲み子抱えてお見送りするだけだ。
乳飲み子抱えて大変ね。じゃなくて
じゃあ手が回るようになるまで習い事させんな、と思った。コーチの推薦があろうがなんだろうが知らんがな。コーチがそんなにその子供を買っているならコーチがやればいいじゃん。
でも周りのお父様方、うちの夫も含む、だけれどとにかくちやほやして
すぐに手助けをしていた。
そうこうしている内に、その子供を家に送り届けたら、その子供以外の
兄弟、お父さんもお母さんも、お父さんの友達も集まって
全員で焼肉パーティをやっていたということがあった。
うちの夫はそこにのこのこと子供を送り届けていったらしい。
そしてやっと目が覚めたらしい。
でしょ?
もうそれしか言うことなかったわ。
そうして他のお父さん方も「あそこの親何もやらねえ」と言い出した。
本当にアーサー並みにバカ。
という話を書きたかったのだ。
だからアーサーが特別愚かで、リーが特別素晴らしい女性、なのではなく
女っていうものはそういう生き物であるし男っていう物はそういう生き物である、ということだ。(ちょっと主語が大きすぎる)
それを周りがあれこれ言っても、残念ながら耳には届かない。
アーサーだってそうだ。唯一の希望のかけら、自分を自分として認めてくれる、しかもそれはアーサーにしてみれば「ジョーカー」ではなく
「アーサー」だが、もちろん。
そんな女性が突然現れてステキな歌を歌ってくれて自分も歌って・・・
舞い上がるに決まってる。そんなのアーサーじゃなくたって
私だって「これは罠だ」と知っててもあの境遇なら飛びついちゃうかもしれない。
そして一時の夢を見せられたアーサーは徐々に「ジョーカー」に
なっていく、というか「現れる」というか
ここが難しいところなんだな、と思う。ジョーカー。
つづく