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月の光とパルティータ

猫に噛まれた手はまだ痛い。しかもやっぱりその左手が不自由で
犬に注射するときに注射針を左手に刺してしまい、私の左手は今満身創痍である。が、腫れがひき大分曲がるようになったのでピアノ練を復活した。

と、書いたら、さも手を怪我していたからピアノが弾けなかったのねと
思われそうだが、レッスン後の1週間はピアノを触らない。はいつものことだ。もちろんそういう風にしているのではなく「やれやれ、レッスンどうにか乗り切ったぞ」と「次のレッスンまで2週間もある」という気持ちの仕業である。この1週間も弾けば上達するのにな。

以前やっていたモーツアルトのソナタを寝かせて次に選んだのはドビュッシーの「月の光」。
今更こんな有名な曲。しかも音の質、良さ、センスを問われるような曲。
私は知っている。ゆっくりで譜読みが簡単→ステキに弾けるわけではないということを。むしろ、ゆっくりな曲こそ和声の変化を聞かねばならない、月の光は一番上の音を極上の美しい音で弾かねばならない
インテンポで弾ければ良い、ってわけじゃないことを。

うちの子供とよく連弾をしている他2人の女子で6手連弾をすることがある。その年の発表会でも6手をやることは決めたものの曲を何にするか相当悩んだ。というのもステキな曲があまりないからだ。
2台4手、1台4手の曲は割と出回っているけれど1台6手はあるにはあるけれど難易度、アレンジ共に美しい曲は少ない。
けれど穴掘り名人の私はYouTubeの穴を掘りまくって見っけた。
それが「月の光」の6手バージョンだった。映像、アレンジ共に素晴らしかった。他の二人のお母さんにも先生にも「よく見つけたね✨」と褒めてもらえた❤彼女たちは我が子も含めてるけど、ほんとに上手くて
特に連弾は小さい時から数をこなしていることもあり、たいして練習もしないのにパッと合わせてしかも割とステキに弾ける。この月の光も
「・・・・いいな・・・ちぇっ」と思えるほど良かった。
そしてこの人たちが弾いた「ここの音の響き」を求めて私も練習している。
友達も「まあよくそんな音にこだわらなきゃいけない曲選んだね」と言っていたけれど、ほんとにそうだし先生の前で私の駄演をさらすのも毎回恥ずかしいんだけれど、練習の時に何回弾いても何回聞いても自分のクソみたいな演奏でも曲が素晴らしくて和声が素晴らしくて「はうっ・・・・❤」と悶えられるのでいいことにした。
ほんとになんて素晴らしい曲なんだろう・・・涙

で、ツェルニーとこの曲をやって、なんか物足りん!と思ったらバッハだった。幼少のころからピアノは「ハノン、ツェルニー、バッハ」をやってから曲を弾く、としみこんでいるので、子供にもそれを押し付けているが
今彼女はとにかくコンクールの曲が過去一でやばい状態で、確かにバッハ弾いてる場合じゃないかもとは思っているが私はバッハに飢えている。
本当は娘のバッハを聴いて「いいねえ・・・・」と思いたいのだが弾いてくれないから自分で弾くことにした。先生に言ったら「そうね。バッハいいわよね。パルティータでもやってきたら?」と言われたので
吟味してパルティータ3番を弾くことにした。
パルティータは6~7曲からなる組曲で1番目のファンタジアから始めた。
譜読みは楽な方だったのだけれど弾いても聞いても「何言いたいんだかさっぱりわからん」と思って弾いていた。先生の前で弾いたら
「わかって弾いてる?」と聞かれたので「いえ、さっぱりです」と答えたら
「でしょうね。全部ひらがなで書かれた句読点がない本を読んでいるような演奏でした」と言われた。先生ってへたくそな演奏を表現するのがとても上手なのだ(子供のレッスンで経験したのでよく知っている)。
そして「ここをこうやって弾いて。右手はこう弾いて。はい、次左はこう」って数分の指導で「どうやってなってるかわかった?」と聞かれたので
「わかりました~~~~~~!」と答えた。
まるでモーゼが「ふぬっ」て言ったらぶわーーーーって目の前の海が二つに分かれて道になったかのようなわかり方だった。先生神。先生モーゼ?
頭でわかって弾くバッハのすばらしさよ。というわけで練習再開しました🎹


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