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TVアニメ「ラブライブ!スーパースター!!」2期第5話と第6話~あなたの夢はなんですの~

TVアニメ「ラブライブ!スーパースター!!」2期第5話「マニーは天下の回りもの」と第6話「DEKKAIDOW!」の感想記事です。以下、ネタバレが含まれますので、その点ご了承ください。

第5話が何の話だったのかと言われれば……何の話だったのでしょう。これまで出オチ変顔担当だった鬼塚夏美がよく喋る回でした。何度「マニー」って言ったかしら。Liella! を利用して「エルチューブ」の動画の再生数を伸ばしてお金儲けをしようという立場なので、コミカルに描かれつつも、あまりよい印象はなく、話としての盛り上がりポイントもなかったために、淡々と鬼塚夏美がヘイトを溜めていっただけのように感じました。これまでの私の2期の話数大好きランキングは「第4話>第1話>第3話>第2話=第5話」となっており、個人的には単独で見返すのが結構ツラい回だったなというのが正直なところ。鬼塚夏美推しだとまた見え方は違ったのでしょうか。米女メイが運動向きかと思いきや若菜四季のほうが向いていたり、若菜四季が芸術向きかと思いきや米女メイのほうが向いていたり、ギャップかつ相補であった四季メイの関係はよかったです!  歌詞を考えている桜小路きな子も含めて、それぞれ長けている能力を持ちながらも2年生には及ばなくて。鬼塚夏美の悪巧みもあって、1年生は2年生と分かれて夏休み合宿をすることになりました。うん、第5話は、ひとことで言えば、鬼塚夏美の好感度を犠牲に、1年生を独立させる口実を作る回でした。

このとき、私はかなり真面目に「なるほど、こうやって1年生楽曲への動線を作るのか」と感心していました。その先に、まさかあんな展開が待っているなんて露知らず。

第6話が何の話だったのかと言われれば、鬼塚夏美が再び夢を見る話しでした。こちらが真のオニナッツ回。いやぁよかったです。ひとりで夢に破れた者が、みんなで夢を追いかけ始める青春ストーリー。マニーを繰り返していた彼女がマニーに拘っていた理由が明かされました。貧乏から脱出するマイナスからゼロのためでも、贅沢な暮らしをするゼロからプラスのためでもありませんでした。ゼロからゼロへ。「夢がないからやりたいことが老後に備えてお金を貯めることくらいしかない」だったのです。 たぶん鬼塚夏美には「マネーを貯めて何かをする」という目的がありません。「マネーを貯める」という手段をただ遂行しているに過ぎません。刺さる。ライブに躊躇なく参加できる程度にはお金に困っていないけどモノクロームな日々を送りながら積み立て投資に励むサラリーマンに刺さる。私だよ!(だーん!)

鬼塚夏美は平安名すみれとの対比が好みです。登場当時から「キャラ被りしているのでは?」と思っていました。オニナッツー鬼塚とギャラクシー平安名。共に金髪。幼少期の思い出も似ていて、いつまでも主役になれずグソクムシだった平安名すみれのように、鬼塚夏美もまた、金メダルもノーベル賞もモデルも叶わず、ことごとく夢破れています。平安名すみれと決定的に違うのは、平安名すみれがそれでも夢叶えるためにLiella! を利用したのに対して、鬼塚夏美はすでに夢破れた惰性でLiella! を利用していたところです。これまでは平安名すみれが鬼塚夏美の行動を怪しむという関係でしたが、諸々解決した後にどのような絡みを見せてくれるのかは注目ポイント。撮りたがりのオニナッツーと撮られたがりのギャラクシーなのでウマは合いそう。

何だかんだで夢を見ることを諦めたオニナッツーを救ったのは澁谷かのんでした。ちょいちょいちょい。1年生と2年生は別行動なんじゃないの?? その通りです。1年生は4人で桜小路きな子の故郷である北海道に合宿に来ていました。そこに2年生の澁谷かのんはいないはず。なんと突然、部室に電話がかかってきて父親から忘れ物を届けてほしいと北海道に呼び出されていたのでした。そんなことある?? もうちょっと自然な事由はなかったの?? さすがに笑ってしまいました。スクールアイドルやってみないかという澁谷かのんに鬼塚夏美は「話の脈絡が見えませんの」と返します。まさに視聴者の代弁です。鬼塚夏美のスタンスをこっそり聞いていた澁谷かのんは自身の経験から、自分ひとりで夢が叶わなくても、みんなとなら夢が叶うかもしれないと提案します。第4話のときも思ったのですが「そこ澁谷かのんじゃなきゃだめだったの?」と思うところにも彼女は登場します。主人公補正なのでしょうか。結果的に澁谷かのんに落とされなかった1年生は若菜四季だけでした。四季メイ強い。今回で言えば、少し展開は変わりそうですが、第1話で鬼塚夏美に背中を押してもらった桜小路きな子でもやりようによっては落とせたような気がします。

第1話で一歩を踏み出すかどうかを悩んでいる桜小路きな子の背中を押した鬼塚夏美のアドバイスは以下の通りです。

いいですの?
向いてないことをいくら頑張ったって
ダメなものはダメですの。
でも、やってもないのに
向いているかどうかなんて、わからないでしょ?

「ラブライブ!スーパースター!!」2期
第1話「ようこそLiella!へ!」

第6話を見てから改めて振り返ると心にくるものがありますね。やってみた上で向いていないことを突きつけられ続けてきた人生を送ってきた者の言葉だよ。彼女の素敵なところは自分が夢に破れ続けていても、他人の夢がどうせ破れるとは思っていないところです。第6話でも1年生3人の目標を「頑張れば手の届く夢」と形容しています。鬼塚夏美の中に自分がスクールアイドルになるという選択肢はなかったのでしょうか。自分が参加することで動画の再生数を伸ばして金儲けするという方法もあったはずです。それをしなかったのはやはり「やってもいないけど、どうせまた自分には向いていない」という諦めの気持ちがどこかにあったのかもしれません。桜小路きな子にあんなことを言っておきながら! そう思うと1年生の4人は揃いも揃って「自分には向いていない」族だったわけですね。

実際、鬼塚夏美がスクールアイドルに向いていなかったかといえば、普段のアルバイトで鍛えられていたせいか、1年生の合宿にそれなりについてこれていたり、澁谷かのんのぶっつけ振り付けコピーもそれなりにできていたり、それなりに向いているだろう描写が見受けられました。少なくとも第2話時点の桜小路きな子より初期スペックは高そうです。

そんな実はハイスペック鬼塚夏美がいきなり1年生曲……ではなく9人曲「ビタミンSUMMER!」のセンターに立ちました。合宿はさらっと終わって学園祭の当日です。第5話で同級生が「いつか(その時点で加入していた1年生の)3人の誰かがセンター取っちゃったりして」と言っていましたが、まさかその時点で未加入の鬼塚夏美がくるとは。待遇がいい。ちょこまかした振り付けが可愛く、クラップも盛り上がりそうで、ライブ再現が待ち遠しい楽曲です。ビカビカに光る衣装のために電飾積むのかしら。「常夏☆サンシャイン」に引き続き、Liella! の夏曲は強いですね。やんちゃモードの嵐千砂都が可愛い。やんちゃモードする岬なこさんをライブで見たい! 歌い終えた鬼塚夏美の気持ちはまさに「What a Wonderful Dream!!」だったことでしょう。

第5話を見たときはどうなることかと冷や冷やしましたが、第6話を経て鬼塚夏美に親近感がわき、かなり好きになりました。第5話で溜めたヘイトを吹き飛ばすには十分な内容でした。

第7話は「UR葉月恋」です。第5話で初めてゲーム機に触りゲームに目覚めた葉月恋が一体何をしでかすのでしょう。過去に何度か述べているように、個人的な感想として葉月恋は1期第8話までに溜めたヘイトを吹き飛ばすことに構成上、失敗していると思っています。そのせいで2期も彼女が数少ない出番で口を開くたびに「いやいやどの口が言うてんの」という感情がよぎることがしばしば。決して彼女が悪いわけではないので、そんな彼女の印象がガラリと変わる素敵なテコ入れ回になるといいなと思います。

余談
……ところでわざわざ北海道まで行った意味は?? せっかくの合宿パート大幅カットしすぎじゃないですか?? きゃっきゃうふふが足りなくないですか?? テンポがよいことは悪いことではありません。ただ、スピンオフでも何でもいいので、合宿中の四季メイを、何卒。1年生曲がなかったのも残念と言えば残念です。第5話で1年生合宿が決まってから 第6話の中盤で嵐千砂都が「ハードル上げていいかも」と言ったところまでは「学園祭で1年生だけのパフォーマンスきたー!(鬼塚夏美がどうなるかは知らんけど!)」と思っていました。1年生曲も何卒。

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