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ヒトが行き着く先とは

「超高齢社会」
誰もが知ってる言葉だ
日本の高齢者人口は3588万人
その数は全人口の28.4%が高齢者になる

年を経ることは成長すること
子供のころは誕生日が来ることが楽しみでしょうがなかった
1年間で自分のためだけの日だ
自分は何もせずにただその日に生まれ落ちただけなのにみんなが祝ってくれる不思議な日だ
さすがに今の年齢となればそんな嬉しいものでなく1つ歳を重ねたなと思うだけ
でも、おめでとうって言われると嬉しいものだ

しかし、それが50年も60年も先になれば話は違う
歳を経ることは老いることになる

そして、加齢することと切り離せないことで
現代社会でも大きな問題となっているのが
「認知症」だ

認知症に罹患しているのは先程挙げた高齢者の人口の内の約15%にのぼると言う

私は仕事柄
所謂「認知症」と診断された(されてなくても)方々と接する機会が多い
どんな特徴でどんな話し方
接し方をすればいいかもそれなりに心得てる
はじめましての方でも3分も会話すれば
「ああ、この方は、、」なんてすぐにそのモードに切り替えて対応する。
しかし、そのような態度で望めるのはどこかで自分とは違う他人だからなんて気持ちがあるのは間違いないからだろう

今回の話の主軸としたいのは
自分の家族のことだ

自分の祖父母は全人口のうちの28.4%に含まれるのは間違いない
そこまで年を重ねたのは大変素晴らしいことだ
そして、その中の15%の中にも含まれてる

自分は父、母、祖父母、弟の六人家族であった
自分が大学進学とともに地元を離れてもう8年経つ
自分が8年歳を経るということ家族も8年の歳月を経る
祖父母は8年老いた

ここからは全て同居してる両親から聞いた話だ

祖父母は物忘れがひどくなった

毎朝通帳を探してる
毎夜財布を探してる
その財布自体が買ってきたのか貰ったのか山ほどある
その財布すら中身に何があるかも分からないから財布を見つけてもあんまり意味はない

夜中にトイレに起きればトイレに閉じ込められた助けてくれと大声で騒ぎ出す
自分で鍵を閉めたはずなのにだ

親戚と旅行に行く約束をして待ち合わせの時間になっても場所に現れず三日間行方不明になった
警察にお世話になった
父は東京まで探しに行った
肝心の本人たちは当初の目的とは全く違うところに行って旅行満喫したとのこと何もなかったように帰ってきた
帰ってきての一言目が「なんで若者はそんなに大騒ぎしてるんだ」と他人事だ
本来行く予定だった宿や旅行のキャンセル代は両親が負担した
親戚にも謝罪の電話を入れた

部屋は散らかり放題だ
そこら中にビニール袋が、吊るしてある
お金やら大事な書類が入ったものは全部棚に挟んであるかベットの隙間に押し込まれている
そこに入れたことも忘れているから
翌日の朝にまた無くなったと大捜索が始まる

祖父母には自覚がない
忘れてしまうから当然だ

でも、自分たちはしっかりしてると思ってる
お金の管理は絶対に他人に任せない
部屋に入ることも許さない
物が少しでも場所が変わっていると怒りだす

自分が実家に帰れば自分の名前で呼ばれることはない
必ず弟の名前で呼ばれる
訂正はしない
それすら忘れてしまうからだ

この前また通帳が無くなったと騒ぎがあった
たまたま銀行の方が営業で自宅を訪問していた翌日だ
祖母は銀行員が詐欺師だと言った
盗まれたといった
母は翌日仕事を休んで銀行まで確認に行った
新しい通帳を作ることになった
印鑑が必要となり祖父母に用意しておくようお願いしておいた
当日祖父のポケットから出てきたのはヤマトやら佐川やら配達が来た時の受け取り印として自宅の玄関に置いてあった100円ショップで買った印鑑だった
開いた口が塞がらないとはこのことだと母は思った
印鑑がないから帰ろうとしたところ
今度は祖母の鞄から出てくるわ出てくるわ
たくさんの印鑑やら財布やら通帳、、、

ん、通帳??
あるじゃんか!通帳!
母は腰を抜かすとはこのことだと思った

物を無くすから
金庫を用意した
その金庫は最強のセキュリティを誇るだろうだって翌日にはその金庫の鍵がなくなったからだ
もう開くことはない

運転免許は返納させた
祖父母は相当文句を言ったそうだ
事故が起きてからじゃ遅い
聞いた話ではもうすでに逆走したとかなんとか
「こんな歳だけど運転は上手なんだ」と言い張る
身の毛がよだつとはこのことだと自分は思った

買い物は母が連れていくか買っておいて渡してあげてる
渡したものは何処かにしまわれて使われることはほとんどない
連れていくけどさすがに付き合いきれずに車で待っていると停めた車の場所が分からず戻って来れない
「先に帰られてしまったと思った
なんでそんな意地悪をするんだ」と母が責められる
でも、それすら忘れている
両親と怒鳴り合いの喧嘩をしても翌朝には忘れている
最速記録は喧嘩の最中に「なんでそんなにお前が怒っているのか分からない」と怒られる

そして母は倒れた
元々身体は強くない
父は近所中に平謝りだ

自分はどうするべきか
普段から仕事柄接しているからと
慣れているからと言い張っても
もっと身近なことに対しては何も生かせてない
地元へ戻ることを決めた1つの要因だ

母は言う
「このままだと私たちもあの人たちもどーなっちゃうの」
何にも言えない自分が情けない
身近なこととなるとあまりに無力だ

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#家族 #拡大家族  




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