おぬし! おぬし!
たとえば絵描きが両手を塞がれて絵を描けと言われたとして、
口で絵を描いた方が、より障害者らしいからとか言われたりして、
人間性を無視した絵の描かせ方を思いつく人が多いとしたら。
どんな絵でも受け入れるという姿勢が出来てない訳で、
その時点で障害者に芸術を楽しんでもらおうという姿勢がなってない。
というより普通の人間が描く芸術さえも理解していないかもしれない。
大概、芸術作品は情熱の発露と技術の結晶で出来ているが、
どれも労力に関して言えば、白いキャンバスや、
色のついたキャンバスをフルに使って絵を描くわけで、
それを考えてもらううえで、こうやって描くものだとか、
芸術的なものが自然と決まってきてしまう、
目が肥えるというわけではなく、
ただ一般的に絵とはこうである! というのが出来上がっちゃう!
違うから! 違うからな!
絵ってそうやって描かせるもんじゃねえから!
そりゃあ障害者がジャンルなら楽だったかもな!
障害者というジャンルで絵を描いてくれ! そういう話なら早いかもな!
だけど違うだろー!
お前、障害者は芸術のジャンルじゃねえよ!
わざわざ学ばせてやるとか教えてやるとかそういうのでもねえよ!
とりあえず先に描いた絵があったろ? それ全部無視して言うのか!
そういうのが一番、人間が決めつけていってしまってる、
固定概念ってもんで、芸術的には踏破しなきゃならんねえものだ、
障害者が漫画描いちゃいけないことなんてないからな、
ただ単純に一般漫画家と差が開くかもしれないから遠慮してるのか、
もしれないけど、俺は一般の漫画家に描けないものが描けると、
考えてるから漫画描いてるし、イラスト描いてるし、
カラーもやるようになった。
それをキャラクターだから抽象的じゃないからって、
別のもの描かせ始めて、作家性を眠らしちまったら、
そもそも芸術ってもんが作家性を出すもののはずなのに、
一気に芸術にするために己を加工することになるからな!
俺はそういうのめちゃくちゃ気になるんだ!
自然に絵を描けるように心がけてるから、
万人受けするもの描きたいと思ってるから、
万人受けしないというものこそ芸術みたいな視点怪しいと、
そういう考え方じゃ伸びないと、そう思ってるんだ。
障害者に変な期待をしてやしないかい?
まずは普通の人間だろ、障害はあっても感情も何もかも、
そこに障害者アート的なものを要求し始めてないかい?
より理解できないもののほうが価値があるとか考えはじめてないかい?
全部、違うからな、
俺は自分の描いた漫画で行くし、
キャラクターに思い入れがあるから表情も描く、
なんとなくな抽象画じゃマジもんの抽象画には勝てねえのに、
いきなり挑戦させて練習始めさせるやつがあるか!
もう二週間くらいしか無いんだぞ!
精神と時の部屋をよこせ!
オラは抽象画の修行が必要なんだ!
あのアニメの背景みたいに細かい抽象的な心象風景を、
表わした、情景描写力が必要になってくるんだ!
抽象画とか技術力そのものだからな!
俺に技術力そのものを求めるってことは、
もっと投資しなきゃ目覚めない能力があるってことになる、
潜在能力に投資しなきゃなんねえってことになる。
それ、無理が祟るって分からねえのかな?
いきなり絵のモードを変えろって言われたら、
どんな奴でも一度は試してみるだろうけど、
俺は生半可じゃ出来ないということは分かってる。
だがどうせ試したことはないんでしょ? ってなるだろ?
おまえ、どこまでも人を試す奴だな、
障害者アートの為に抽象画の巨匠たちにケンカを売らせる、
その度胸は気に入ったよ、でもお前、
俺、その道、進む気ねえから!
行政とか府絡みでこられても多分、逃げるから!
おれの逃げに期待してくれよな!
おしまい
いただけるなら、どこまでもおともしますとも!