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夏至の間にメモ
ここ数日で、最低気温が25度になり、真夏のような日が続いている。
朝、七時にゴミを出しに外へ出ると、まっ青に晴れた空と眩しい光で寝坊などできやしない。
夏は、戦争のドキュメンタリーやスポーツ番組が増える。
野球は、高校野球にプロ野球、大リーグのオンパレード。
他にも、パリオリンピック前の競技が増え、画面には、筋肉逞しい人間が限界に挑戦する様子が写る。
戦争のニュースは毎日続いているのだからと、先月観たジョナサン・グレイザー「関心領域」からアウシュビッツについての映画を、順番に見ていた。スピルバーグの「シンドラーのリスト」、マルガレーテ・フォン・トロッタの「ハンナ・アーレント」、ネメシュ・ラースローの「サウルの息子」、アラン・レネの「夜と霧」はレンタルが高すぎて借りることができないので、書物を読む。
十数年前、フランクルの著書を漁っていた時があった。あれは冬だったと思う。毛布をかぶって暖かい柔らかい敷物の上で私は夢物語のように読んでいたのかもしれない。「サウルの息子」は、「関心領域」の塀の向こう側を描いている。しかも主人公の後ろ姿をカメラがずっと追っていくので、彼と同じ「仕事」をしている気分になり、どうしようもなくきつい。ラストシーンもどうしようもない狂気に満ちたまま放り出される。しかし、この順番で観たことは、正解だったのかもしれない。詳しい内容を書いても仕方がないが、自分が生まれたときは、まだこれらのことが起こっていた時代からそれほど経っていなかったのだと、気づく。
今日も熱中症のような昼間は、喫茶店に逃げる。逃げることができるうちは逃げるべきだ。
©︎松井智惠 2024年7月5日筆