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画廊のお店番の日々
個展が始まって、明日で二週間。
4月もどんどん日にちが過ぎて、すっかり桜が満開に近くなった。
1日に、そんなにたくさんのお客さまが来られるわけではないのだが、
いらっしゃった方は、じっくり作品を見てくださっている。
鏡を突き抜けた架空の場所を設定し、そこでは生者も死者も、その二つに分別することのできない両義性を含んだ輩がモノタイプの紙片となってあちこちで蠢いている。
透明度の高い色彩にしたので、どの画面も軽く明るい。
あの苦しさも、不甲斐なさも、何もかもなかったように
軽くなってそこに在る。
一編の詩を最終日に三名で読む。
日本語と、韓国語と、英語で。
その音と声がどのように鏡と結びつくか。
黙って作業をしていた時と違い、とにかく声を出して覚えようとする。
書いた時は身体から出てきたはずなのに、その感覚がなくなっている。
書くことと読むことの違い。
書かれた文字を剥がして音に変えること。
暗誦できるかどうか、さてどうなることやら
©︎松井智惠 2024年4月4日筆