[Kayの読書]日本人の勝算★★★★☆
いずれ発展途上国になってしまう日本
弱体化する日本という国の現状を知ることができる良い本でした。
この本の主張を要約すると以下の通りです。
・日本はこのままだと数十年後に発展途上国レベルの国になる
・その原因は「高齢化」と「人口の減少」の2つの問題を同時に抱えていること
・特に「人口の減少」は日本経済にとって致命的、なぜなら「人口の減少」は商品やサービスの需給バランスを崩す(需要が減る)が、企業は供給を減らしたくないので企業同士による価格競争が起き、この競争によって「低品質・低価格のスタイル」になってしまい、最後に「給与を下げられてしまう」という形でバチを食らうのが最下層の従業員たち
・「高齢化」と「人口の減少」の2つの問題を同時に抱えている国は諸外国には少ないので諸外国の対策は参考にならず、日本独自の対策に取り組む必要がある(「高齢化」だけど「人口は増えている」という諸外国の方が多い)
・その対策とは「賃金を上げること」、日本の最低賃金はあまりにも低い
・企業が従業員の賃金を上げるためには、「生産性を上げる」しかない
・「生産性を上げる」ためには、中小企業の統合(中小企業は生産性が低い)、高品質な商品を売って高所得を得るスタイルへの切替(現状は逆)、大人の生涯学習による生産者のスキル向上、などやることは多い
・でも一番やらなければならないのは、まず国民が「変化を歓迎すること」
・特に人口が多い40代以上の大人が時代の流れと共に積極的に意識を変えていかないと、日本は本当に終わる
この本を読んで僕が思ったこと
この本を読んで僕が思ったのは、「日本はここまで難しい状況にきてしまっているのか・・」ということです。
例えば、著者はこの本だけでなく至る所で中小企業の統合を薦めていますが、これはかなり痛みを伴うと思います。日本の中小企業には良い面がたくさんあって、それが日本の経済の根幹を支えていると僕は思います。だけど、現実として、高齢化社会の日本で年金や介護医療保険制度を維持していくために国は税収が必要で、税収を得るためにはとても少ない働き手ひとりひとりが生産性を上げることが必須で、そのためには中小企業の経営統合をして人事総務や経営を一体化しないといけない。
日本が誇る中小企業の良い面を捨てるほどの意識改革をしないともうなす術が無いところまできているのか・・と思わされてしまいました。
あと、それ以前にまず、「生産性とは何か?」と人に聞かれたときにきちんと答えられるような大人になろう、とこの本を読んで思いました。
他のおススメ本
日本以外の国にルーツを持ち、だけど日本に長く住み、日本人的視点と日本国外からの視点の両方を持つ筆者のような方の本は、自分には無い視点と発見を教えてくれるので、僕は読むのが好きです。
他には、ロバート・フェルドマン氏の「フェルドマン博士の日本経済最新抗議」なんかもおススメです。