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発声のための体作りVol,1【発声のメカニズムと筋トレの必要性】

おはようございます、こんにちは、こんばんは!
トレーナーの島脇です!


あなたは「人に届ける発声」を考えたことはありますか?
想いの伝わる発声には、声の出し方や質(声量などを含む)も大きく関係してきます。

発声パフォーマンスを高めることについて考えると、つい「呼吸」にばかり注目してしまいますよね。

ですが発声は、体全体の機能が関わっている全身運動と言えます。

納得のいく発声を手に入れるためには、声が出るメカニズムと全身トレーニング(筋トレ)の必要性を理解することが大切です。

そこで本記事では、発声の仕組みと関わる筋肉について解説します!

<こんな方におすすめ>

歌うことを生業としている方
人前でお話しするお仕事の方
営業でプレゼンの機会が多い方
ヨガインストラクターなど
声で人に伝える精度を高めることでパフォーマンスの向上を目指される方

声を出す仕組みについて


私たちは肺から出る空気を声帯にあて、声帯を震わすことで発声しています。

そして出す音は声帯を伸び縮みさせたり、声帯の隙間を開いたり閉じたり、柔らかくしたり硬くしたりすることでコントロールを行なっています。

こうした細やかなコントロールは脳の指令によって起こっており、心地のいい音をつくり出すために重要な役割を担っています。

さて、声帯に当てる空気を肺から出すためには、肋骨の中のスペースを大きくしたり小さくしたりする必要があります。

肺はそれ自体では動くことは不可能なため、肺を囲っている肋骨が動くことで空気の出し入れを可能にしています。

その肋骨を動かしているのは筋肉ですから「呼吸筋を鍛え、コントロールしやすくすること」が発声において重要だと考えられる大きな理由と言えるでしょう。

そして適切にコントロールするために必要な要素として、筋肉を持続的に使うための強さや柔軟性があげられます。

<ちょっと小噺>
このような発声のお話をしていると、以下のような意見も多く耳にします。

「私は歌のプロなので、呼吸のトレーニングだけすれば良いですか?アスリートとは違い、全身の筋肉を鍛える必要はないのでは?」

もちろん、こうした意見は否定しません。
ですが呼吸に携わる筋肉だけではなく、それ以外の筋肉を鍛えることが発声のパフォーマンスを総合的に上げることに繋がっているのも事実です。

しなやかさを備えた筋肉を作る「筋トレ」

今回説明している「鍛える」は、筋肉を硬くするトレーニングではありません。

柔らかくしなやかな筋肉を作り、関節の可動域を広げるようなトレーニングを指しています。

実際にこれまでの指導経験でも、体全体を発声に関わらせることで

  • 音域が広がった

  • 声量が増えた

  • ピッチの取り方が変わった

などのポジティブな変化を起こされた方々を多く見てきました。

さらに、筋肉を動かすために、脳から動きの指令を届ける必要があります。その役割を担っているのが神経です。

全身の筋肉を柔らかく使えるようにしていくことはもちろん、指令を通す神経伝達をスムーズにしていくためにもトレーニングが必要と言えるでしょう。

体を巡る神経系統

もし脳から口頭(声帯)周囲に指示を出す道(神経)がスムーズでないと、声帯そのものや首の周りに無理な負荷がかかってしまうことになります。

必要のない負荷がかかり過ぎることで筋肉が緊張し過ぎてしまい、発声以外の体のトラブルにも繋がってきてしまう場合もあります。

ですから神経を圧迫しないように、硬い筋肉を柔らかい筋肉にしていくメンテナンスも同時に必要です。また、神経の道筋を整備するため、背骨の動きをよくすることも大変重要な要素だと言えます。

肋骨(呼吸)の動きと筋肉について

先述の通り、肺は自動的に大きさが変わるわけではありません。

肋骨に着いている筋肉が働くことで、肋骨の中の容積が変わり、肺に空気が出たり入ったりしています。

呼吸で使う筋肉

肋骨を動かし、呼吸に関わる筋肉を「呼吸筋」と呼びます。

自らの呼吸や発声にはどんな筋肉を使っているのか、想像したことはありますか?
解剖の図を見ながらイメージを膨らませていきましょう。

安静時呼吸
・・・普段の生活、寝ている座っている時の呼吸

外肋間筋(肋骨と肋骨の間に付着し、肋骨内の容積を変える)
横隔膜(ドーム状の筋肉。横隔膜が下がることで空気が入り、上がることで空気を出す)

努力呼吸
・・・運動時、歌う時など
安静時呼吸よりも多くの筋肉が使われる

胸鎖乳突筋、斜角筋、上後鋸筋、肋骨鋸筋
(吸う時に使う。肋骨を拡げ、空気を入れる)

腹直筋、内肋間筋、下後鋸筋
(吐く時に使う。肋骨を下げ、空気を押し出す)

努力呼吸時には酸素の出入りが頻繁に行われます。
これらの筋肉を鍛えておくことで、運動量に合わせて適切な酸素量を供給できるようになります。

また、呼吸筋はそれぞれを単体で鍛えるのではなく、他の筋肉と一緒に使うイメージして鍛えることもとても大切です。


呼吸を支え、姿勢を保つ筋肉


「他の筋肉と一緒に使う」と言っても具体的にイメージを持てない方は多くいます。
全身の筋肉は、呼吸にどのように関わっているのでしょうか?

ここでは呼吸筋をサポートしたり、呼吸のしやすさに最適な姿勢を保つために必要な筋肉を紹介します。

僧帽筋、広背筋、腹横筋、内腹斜筋、大臀筋、中臀筋、腸腰筋、外腹斜筋

一見すると発声には関わりのなさそうな大きな筋肉も関与しており、肋骨だけではなく背骨や骨盤周辺の筋肉も鍛えておくことが安定した呼吸(発声)やそのコントロールのために必要だということがわかりますね。

発声の解剖と筋肉


最後に、声を出すために必要な声帯の解剖図も見てみましょう。

これは声帯を覆う軟骨の図です。

私たちが喉仏と呼んでいるものは甲状軟骨といいます。
その他にも、輪状軟骨や喉頭蓋(軌道と食道を分ける蓋)、ひれつ軟骨(声帯の後ろに付着している)などがあります。

そして声帯を動かす筋肉も細かく分類されています。

外喉頭筋群5つ

これらは触れることができる筋肉でもあるため、筋肉の緊張を取ることで音の高低をコントロールしやすくするアプローチも可能です。

内喉頭筋群5つ

これらは直接は触れることができませんが、小さいながらも発声に関わる重要な筋肉群です。

いかがですか?

発声にはこれほどまでに多くの筋肉が関与しているというイメージを持つことができたでしょうか?


頭の中で解剖のイメージを持つことで、体は動きやすくなっていきます。

つまり、発声に関わる筋肉や骨格を理解することで発声の質が変化していくことが期待できます。

本記事を通じて、呼吸筋や呼吸筋をサポートする筋肉、姿勢を保つ筋肉を鍛えること(全身を鍛えること)が大切な理由が明確になっていたら嬉しいです。

最後にひとつだけ注意点!

トレーニングは闇雲にやってしまうと硬い筋肉が出来上がってしまう恐れもあります。ストレッチなどを含むメンテナンスも並行して行うことが、よりしなやかで伸び伸びとした体を作るのに重要だと言えるでしょう。

自己流で行う前に、専門家に相談することをお勧めします。

まとめ

本記事のまとめです。

  • 発声は、肺から出た空気を声帯に当てることで起こる

  • 肺は自ら動けないため、肺を包む肋骨を動かす呼吸筋が必要

  • 呼吸筋を支えるための筋肉、姿勢を保つ筋肉を鍛えることでより質の高い発声が可能

  • 筋肉を硬くするのではなく、柔らかく使えるようなトレーニングが大切

  • 自らの体の解剖イメージを持つことで動きや発声の質が変わる


いかがでしたでしょうか?
今回は第1弾として発声の仕組みと関わる筋肉についてをお伝えしました!

第2弾では、発声において筋肉や体をメンテナンスする重要性とその方法についてお届けします!

お楽しみに♪

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BODY DIRECTOR所属トレーナー 木村美穂


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