ライスワークとライフワーク
訪問看護を希望して入社し1年半頑張ってきたけれど、想うところがあり退職を決断したスタッフから、先日、退職届を受け取った。
「看護師として働くことを見直したい。」
「でも、生活するためには働かなければ。」
思いがぐるぐると何周もしているようだった。
私が訪問看護に関わる様になって20年あまりになる。
今までたくさんの看護師さんと一緒に仕事をしてきた。
今も訪問看護師を続けている人。いろいろな事情で訪問看護から離れる人。
仕事を選ぶ理由、続ける理由、辞める理由は人それぞれだ。
◯ライスワーク
生活し、食べていくためには働いてお金を稼ぐ必要がある。
生活し、食べていくための仕事。
◯ライフワーク
自分らしさがある。
自分が楽しんで充実感ややりがいを感じられる。
人に貢献でき、お金が稼げる仕事。
私にとって訪問看護という仕事は、ライスワークかライフワークか。
最初は自立するための仕事だった。
もちろん
大変なことも、悔しいこともあった。
未だに思い出すだけで、瞼が熱くなるような出来事も幾つかあった。
今でも、無力感を感じるときがある。
人の人生や命に関わる事の責任や重さを思い知らされる。
楽な事より、大変な事の方が断然多い。
知らない事も山ほどある。
生活のためだけなら、もっとストレスの少ない仕事だって選べるはずだ。
でも
訪問看護をやりたいと思い、
看護師の資格を得て、
活躍できる機会と場所を得て、
人に貢献でき、
やりがいを感じることができる。
もっと学びたい、知りたいと思う。
それに、お金だってそこそこ稼いでいる。
望んで選んだ仕事に就くことが出来ている事は、幸せなことだと思う。
やらなければいけない仕事も、やりたい仕事も両方こなしてきた。
やらなければいけない仕事は、やりたい仕事となった事もあったし、
やりたい仕事だったはずなのに、義務感だけでこなした事もある。
興味が無い仕事だったはずなのに、そこに面白みを感じた。
望んで選んだ仕事だったはずなのに、嫌になってしまう事もあった。
私の中でライスワークとライフワークは複雑に絡み合いながら、ここまで来た。
今、私にとってこの仕事は「生活のため」だけではないし、
「楽しいから」「充実感・やりがいがあるから」とも少し違うように思う。
必要とされる人がいて、今の私は少しだけそれに応えられる。
ただそれだけ。
私の中では、自分の一部というか、使命というか、
今では「人生の一部のようなもの」になってしまったのかもしれない。
ここまで来たら、ライスでもライフでも、そんな事はどっちでもいいように思う。
結局
何を大切に思うのか。
何に心が躍るのか。
だけど
望んでも叶わない時だってある。
どうしようもならない時だってある。
生きるための仕事も大切。
やりがいのある仕事も大切。
迷っていい。
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退職したあなたへ〜
あなたが何処で何をしていても、
私は、あなたを応援しています。
看護師としてのあなたを。
人としてのあなたを。