「ふつうのこと」がふつうにできる
昨年、訪問看護師を対象とした、県立子ども病院での1日病棟実習に参加させていただいた時の話です。
私自身が実習生として教わる立場は久々で、少々緊張感を感じながら、実習病棟に向かいました。
私の小児病棟のイメージは、
「大人の病棟とは違って、お子さんばかりの病棟なので少しにぎやかなのだろう」
と思っていたのですが、うかがった病棟ではとても静かに静かに時間が流れていました。
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私が担当させていただいたKくん。
人工呼吸器を使用されています。
今日はお風呂です。
ちょうどお母さんが付き添われていて、お風呂の順番が来るまで、お母さんと少しお話しさせていただくことができました。
何度も入退院を繰り返し、今年は1度も支援学校の学校行事に参加できなかったこと
退院後の初日の登校は、必ず1日付き添わねばならないこと
酸素吸入が開始になったことで、新たに手続きを踏まねばならず、すぐには登校許可が出ないこと
お母さん自身がK君のために、何度も仕事を休まねばならないこと
Kくんの弟のための時間を、なかなか作ってやれないこと
最後にお母さんは、
「特別なことは何も望んでいません。
学校へ登校して、
友達と過ごして、
家に帰ってくる。
ふつうのことなのに・・・。
それが叶わない。」
Kくんの寝顔を見ながら、そうおっしゃっいました。
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医療の発展とともに、たくさんのお子さんの命が救われるようになりました。
しかし、病院を出てからの
「命の行き場」
の整備はまだまだ追いついていないのが現状です。
わが市では、数年前から市内の学校・保育園にて医療的ケアが必要なお子さんの受け入れ、訪問看護ステーションへ事業委託し訪問看護ステーションから看護師を派遣する事業を行っています。
私たちのステーションは市からの委託を受け、学校や保育園に訪問看護ステーションの看護師が訪問し、学校や保育園に通われるお子さんたちの医療的ケアのお手伝いをさせていただいています。
訪問看護ステーションが学校などに訪問し、お子さんの医療的ケアに介入しているところは、まだ珍しいようです。まだ、始まって数年の事業です。
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昨日、関連行政機関、受け入れ校、医師、訪問看護ステーション等が参加する検討委員会に出席してきました。
来年度4月に向けての話し合いや、新規の利用を希望されるお子さんについての検討でしたが、まだまだ課題や改善点・検討事項がたくさんあります。
また、対応させていただく私たち看護師スタッフも、自宅や病院とは異なるフィールドでの業務です。
正直なところ、現場で対応するスタッフに不安や戸惑いがないわけではありません。
運動会や市外の郊外学習にも一緒に参加します。
学校の先生方との関わりもあります。
ご自宅での訪問看護より制度的な縛りがあり、気になっていても手が出せない部分もあります。
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『ふつうのことが、ふつうにできる。』
『お子さん自身も、
そのご両親も、
それぞれが自分自身の人生をあきらめない。』
そのための支援の1つとしてこの事業がさらに確立していく事を目指して、私もあきらめないでやっていこう!
改めて、そんな決意をした1日でした。
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