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訪問看護〜回想録〜

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訪問看護歴20年あまり。訪問先での出来事、思い出、学び。訪問看護いまむかし。
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#医療

大切にされていることを、大切にしたい。

Mさんは消化器系のご病気で、病気が分かってから1年以上、ずっと奥様と二人三脚で闘病をされてきました。口からの食事がとれない為、24時間の持続点滴は欠かせません。 先日、知的で穏やかなMさんにしては珍しく、スタッフとの電話の際Mさんが語気を強めたやり取りをされたと聴き、私は少し気になっていました。 抗生物質の点滴の追加指示が出たため、私は久しぶりにMさんのお宅へお伺いしました。 他愛のない話の後、私が抗生物質の点滴の準備をしていると、Mさんがぽつりぽつりとお話ししてくださいま

眺めのいい部屋

Tさんのお宅に伺うと、いつものように娘さんが待っておられました。 Tさんの部屋は、窓から遠くに海が見える一番眺めのいい部屋。 部屋に入ると、いつものようにTさんお気に入りのBGMが流れ、壁にはTさんが好きな花の写真やポスターがたくさん貼ってあります。窓からの景色がTさんからも見えるよう、窓の近くに介護用ベッドが置かれています。 いつものように、私は娘さんと向かい合わせにベッドを挟むように立って、娘さんと一緒にTさんの身体をホットタオルで清拭し、お通じの具合を確認し、おむつ

何が正解なのか~人生を終えるにあたって~ その①

 90歳後半のIさんは特に大きなご病気はありませんでしたが、この数週間で食事がとれなくなり、医師より毎日補液の為の点滴の指示が出たため、訪問看護を利用されることになりました。 ご依頼を頂いた時、お看取りを視野に入れた対応となることが予測されました。 初めてご家族とお会いした時のことです。 「点滴は延命処置なのですか? 母は歳ですし、点滴で良くなるのでしょうか? 母のことは先生にお任せして、先生の指示に従うものだと思っていますが、家族の考えを先生にお話してもいいのでしょう