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「岡本太郎に挑む 淺井裕介・福田美蘭」展③

最後に淺井裕介さんのパートを観ました。

みなぎる生命力。岡本太郎に通じるものが。

今回、この展示でぜひやってみたかったこと。それは「作品の上を歩くこと」。

淺井裕介さんの《在処》は、作品を足で感じることができます。土を絵の具にした作品なので、まるで大地を歩くように作品を体で体感できます。すごい!

岡本太郎《明日の神話》と淺井裕介《在処》

せっかくなので裸足で歩いてみました。
思ったよりトゲトゲはせず、少しザラザラしてヒヤッとしました。
作品の上を歩いていると思うと、自然とそろ〜っと忍び足になります(笑)。

絵と足が触れるって、なかなかないです。

正直に言って、歩くのに気を取られて岡本太郎の《明日の神話》はろくに観ないでいたので(汗)歩き終わって靴を履いてから改めて眺めました。身体がバラバラになる気がして、ちょっと苦手な絵です。でも浅井さんの絵が床から支えて、岡本太郎の絵の不穏なパワーを中和してくれるので、不思議な磁場が生まれている気もしました。

コラボレーションってこういうことなんですね。面白い。

力強い《命の足音》シリーズより。


岡本太郎と淺井裕介、二人の作品が楽しげに並んで、ほっこりします。


左の写真は岡本太郎が撮った
《鹿踊り(岩手)》。ゼラチンシルバープリントの写真はすごく好きです。
鹿というモチーフに共通点も。


蝦夷鹿の血を使って作られたプルシアンブルー

あとで「プルシアンブルー」が気になって調べたら、日本語では「紺青」というらしいです。

紺青(こんじょう)とは、鉄のシアノ錯体に過剰量の鉄イオンを加えることで、濃青色の沈殿として得られる顔料である。

ウィキペディアよりhttps://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%BA%E9%9D%92

ウィキペディアでは、製造方法について鹿ではなく牛の血のことが書いてありました。草木の灰と牛の血液で作れるそうです。血液の鉄分が顔料になるのだろうか…。
パッと見ただけでは分からない、命の激しさを隠し持った作品でした。

鹿の皮にびっしりと描かれた絵

淺井裕介と岡本太郎は、それぞれのやり方で生と死を表現し続けているんだと思いました。激しさと優しさを両方感じられる展示だったと思います。

全体を通して、それぞれの作家のパワーがぶつかり合ったり交錯したり、とてもダイナミックな展示でした。
美術館自体は静かなのに、アーティストの想いが強く感じられて、ずっと作品と対話していたような感覚です。


《母の塔》

展覧会を後にして美術館を出ました。最後に建物の裏手にある《母の塔》を見学。ものすごく大きい。30メートルくらいあるみたいです。

岡本太郎の、作品を作り出す力は本当にすごいです。こんなこと、よく年をとってからも続けてこれたなぁ。
とてもよい展示でした。来てよかったです。生田緑地も広々して気持ちよかった。

今日はこの辺で。それではまた。

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