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谷底の神父【サウナしきじ@静岡県】(1/2)

 僕は読書が好きで、基本的にどこに行く時も鞄の中には1〜2冊の本が入っている。そのジャンルは小説やビジネス書、そして専門書などさまざまだが、最近は仕事で出張する機会が多く、移動中に読書がはかどるので助かっている。
 そんな今日、12月16日(木)も、僕は仕事のために新幹線で静岡駅に向かっていたのだが、その移動中にたまたま読んだ本の中で紹介されていた『谷底の神父』という寓話が印象に残ったのだった。
 その内容を要約するとこうだ。ある村で洪水が発生した時に、命の危機に瀕している神父を助けようと、村人が3回も神父を助けようとしたが神父は聞く耳を持たなかった。どうやら神父は神様が奇跡を起こしてくれると信じていたようで、一人で祈り続けたのだ。
 結局その神父は洪水によって命を落としてしまったのだけれど、天国の入口で「どうして祈り続けたのに奇跡が起きなかったのか」と神様に聞いたところ、「3回も助けをやったぞ」と言われてしまったのだった。

 さて、この話の主旨は非常にシンプルで、つまり「奇跡は人が起こすもの」の一言に尽きる。結局のところ、他力本願で待っていても運は巡ってこないのである。奇跡を起こしたいのであれば自ら行動しなければならないし、予期せぬタイミングで「奇跡が起きた」と感じる瞬間に立ち会ったとしても、その背景には自分を含めて誰かしらの存在があるものなのだ。

 運の良さというのは自然に高まるものではなく、恣意的であれ意図的であれ、誰かがなにかの行動をした結果なのである。そのため、運の良さや奇跡を感じやすい人というのは、日々の生活の中で他人の行動に気付き、そして感謝をすることができる人間であるとも言えるのではないだろうか。

 このように新たな知識を得ることができたり、新たな視点で物事を考えるきっかけを得ることができたりする読書という行為は、僕の知的探究心を刺激し、そして「知りたい」という欲望を満たしてくれるのだった。
 キリのいいところまで本を読むと、ちょうど目的地である静岡駅に到着した。時刻は午前10時ごろ。そこから歩いて数分の場所にあるカフェで約束の相手と合流し、予定通りに仕事を済ませた僕は、すぐに東京には戻らずタクシーに乗り込んだのだった。

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ーー後編に続く

(written by ナオト:@bocci_naoto)

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