転職活動の全ステージで役立った7冊の本をご紹介
転職活動中に手に取った本を紹介したい。
転職活動を始める前に採用側視点で手にした書籍はあったが、がっつり転職そのものにフォーカスした本を手に取ることはなかった。過去にこの記事で書いたように、転職する側の気持ちを考えるために本を活用したぐらいだ。
ところが、いく年か時が流れ、家庭の事情もあって転職を考える機会を得た。本格的に転職活動をした際に手にした書籍と、その後も活用している書籍をいくつか紹介したい。
まずは転職活動中に役に立った本を紹介する。その後、転職前に読んでいた本の背景より採用側視点をどう持つべきかにも触れておきたい。最後に、転職活動終了後に仕事開始するまでの心構えの本も紹介したい。
転職活動中に読んでいた転職本3選
転職活動中は右往左往していた。
採用する側や面接する側の視点で本を読んだことはあったが、転職する側になるとは想像もしていなかった。長年の在籍の常識に凝り固まっており、自分がどうしたいのか全く言語化できていなかった。
そこで、別に本でなくてもいいのだが、いつも頼りにする本。結局は大きな本屋に行き、迷える転職活動者としていくつか本を手にしたのである。その際に以下の本が役に立った。
ゼロストレス転職 99%がやらない「内定の近道」
今時の転職活動は準備次第。転職の常識を見直す話。
転職について何もわからない状態で出会ったが、この本は非常に参考になった。プロセスを変えるだけで、転職活動が楽になることを教えてくれた。古典的な転職活動のイメージしか持っていなかった自分には大変役に立った。
今の自分を高く評価してくれるところに転職する。ただ、それだけのこと。そのためには実績よりも再現性の整理が重要だ。昨今求められているのは、その人の能力の再現性だということがよくわかる。
職務経歴書の書き方に困っていたが、この本のアドバイスが参考になった。職務経験が長いと、時系列に書いていると何をしているのかよくわからない。
そこで、自身の再現性を重視したカテゴライズと行頭説明を加えると、スッキリとまとまった。マネジメント能力の実績は書きづらいと思っていたが、ケース別に遭遇した解決方法を再現性を持って語れると良いと理解した。
転職エージェントと共に進める場合に何を話せばいいのかわからなかったが、これも参考になった。これから転職をしようと準備を進める人にオススメしたい。確かにこの方法で転職活動をスムーズに行うことができた。
私にも転職って、できますか? 〜はじめての転職活動のときに知りたかった本音の話〜
転職のハードルを下げてくれる手引書。
優秀だから採用されるわけではないことに気付かされる。
履歴書と職務経歴書の書き方についてのアドバイスが散りばめられている。また、転職エージェントの活用を推奨している。この本も結局は準備が重要だと指摘し、面接の準備に多くの章を割いている。
転職自体が日本では一般的でないため、転職活動に関する正しい情報が得にくいという指摘には納得がいく。実際に困ったときにこの手の本のお世話になった。
ポイントは「市場価値」という概念が誤りであるという指摘だ。
この発想が受け身であり、自らの武器を自分で作り上げる自己分析の重要性を説いている。そのためには、一貫性のあるキャリアストーリーを語れるように仕上げるやり方が書かれている。
採用は水物だからこそ、いざというときには全力で挑む。
このマインドで転職の準備を続けていけば、チャンスをつかむことができると感じた。最後に、給料やワークライフバランスよりも選択肢の多さが大事だという結論で締めくくられている。
働くみんなの必修講義 転職学 人生が豊かになる科学的なキャリア行動とは
やはり学術分野からのナレッジは覚えておきたい。
転職を単なるマッチングではなく、学びと自己認識のプロセスとして捉える重要性を強調している。自己開示と自己認識を高め、内定後の活躍までを見据えた準備が必要であり、そのための具体的な方法が示されている。
特に、約12,000人の大規模調査から見えた転職の現状は非常に興味深い。
マッチングではなくラーニング。データより、不満を抱えての転職が多いことがわかる。離職に至るまでにはいくつかのプロセスがあり、最後の決定打があると人は転職を決意する。
また、自己認識(セルフアウェアネス)を高めることで転職がうまくいくことが解説されている。他者を頼り、ナラティブ・アプローチで自身の過去・現在・未来の時間軸に沿った特性をあぶり出す。
つまり、自己開示ができている人が転職に強い。
そもそも、内定・就職はゴールではない。活躍までを見ないとリアリティ・ショックに遭遇する。新しい職場への馴染み方も科学的に解説されており、セルフ・オンボーディングの必要性を学んだ。
自ら積極的に支援の場を求め、またそれを用意できるよう貢献したいと思えた。実際に、この気持ちで面接に挑み、その後の行動イメージを伝え、就職後は、セルフ・オンボーディングを軸に行動することができている。
なお、採用視点での面接と書類選考が実業務にどこまで影響を与えるかという問題もコラムで取り上げられている。他の学術系でも言われているが、相関性を示す具体的な数字はなかなか出てこない。
結局、少し働いて様子を見てからの判断が双方にとって良さそうだ。現実的にどこまで可能かはともかく、この関係性を築ける企業は強い。
これら3冊の本の知識を活用したことで、転職活動をこなすことができたのかもしれない。
転職前に読んでいた転職本
ふりかえるとこの二冊の本を転職活動前に読んでいた。
科学的な適職
一冊目は転職じゃなくて適職。2019年に本書を読んでいた。
適職を科学的に考える。バイアスを取り除きつつ、自身を偽らずに合理的に判断する軸を増やす術が網羅されている。結局、マトリクス図のように点数化していき、自分のバイアスに気がつくことが大事とみる。
つまり、客観的に冷静にが大事ということ。直感的にならずに今の状態を把握するのに手助けになるツールを提供してくれている。なお、詳細はこちらの著者の記事が参考になる。
本書の理屈だと、自分が思う強みがあっても環境次第になる。じゃあ、転職活動における強みってどうすればいいんだとなる。本書の文中にもあるが、強みと仕事の満足度の関係は確認しておきたい項目だ。
この適職の常識を見直す話が、今となっては参考になったのかもしれない。その後に手にした本も、いわゆる常識のような凝り固まった考えをほぐすことが大事だと知ることができたからだ。
採用基準
二冊目は『採用基準』。これは2013年に採用する側の視点でリーダーシップ論を学んだ本だ。2023年に再び読み直し、10年ぶりに採用する側の視点で本書を手にした。
採用とはつまるところタレント採用であり、問題解決をして価値を生み出せるリーダーシップを持つ人を採用することである。今もその重要性は変わらない。
10年経っても、他の採用関連の本にはない本質がここにはある。自分の世界観を実現したければ、前に出るしかない。会社を最終目的とせず、その先にある未来を想像し、実行する力が世界で求められている。
これら二冊の本を筆頭に、事前知識があったことが大きな助けとなった。
また、noteで転職や採用について何度も伝えているとおり、一定の知識があった上での転職活動だったと言える。事前の準備と知識が、転職活動をよりスムーズかつ効果的に進めるための鍵となったかもしれない。
すぐにがんばろうとしない気持ちの二冊
転職活動が終了した。
転職初日からがんばろうと思いすぎるのはよくない。本来の自分を出すためには、適切に休むことと仕事をがんばりすぎない方法を学ぶことが重要だ。そのために、転職活動後に出会った以下の二冊の本を紹介したい。
仕事の辞め方
第一線で活躍していた人の40代で考えるべきこと。
退職を仲間内に伝えたタイミングでたまたま人生の先輩に頂いて読んだが、丁寧な辞め方の自伝だった。辞めることでポジティブなことはなんだろう?を提案している。
特に年齢を重ねると人付き合いの重要性が見えてくる。縁がどれほどあり、今後どのように関わっていくのか。築き上げたものを手放すからこそ、新しいことができる。
今までの実力と虚像が人間関係に宿っていることがよくわかる。既存の環境から去ることで、人との関係性がリセットされ、改めて自己を見つめ直すことになるのだろう。そして、時には休むことの重要性も再認識できた。
ゼロから“イチ”を生み出せる! がんばらない働き方
もう、がんばっている。
頑張る前に頭を整理して優先順位を見直す。Not To-Doリストと10xの考え。久々にこの手の話に耳を傾けてみた。To-Doリストは作業がたまるだけなので、インパクトのある仕事に注力する必要がある。
そのためには捨てることが重要だという点をいくつかの話を交えてまとめている。俯瞰の時間を取らないと、ただ頑張るだけの作業になってしまうことに気付かされる。
GiveとTakeのバランスを今一度考え直そうと思えた。これはどの職場でも言えることだろうが、新しい環境に入ったからこそ、時には「No」と言うことが大事だ。ここでも休みについて書かれている。
長期休みを有効に活用しようとより思えたのは、これら二冊の出会いがあったからかもしれない。
なお、休み方については前回書いた通りである。無理に準備をたくさんするとか、勉強を必死にするんじゃなくて、やりたいことができるキャパシティをできるだけ解放することに費やした方がいい。
まとめ
転職活動において、事前の知識と本から得たアドバイスは非常に役立った。
今回紹介した書籍は、転職のプロセスだけでなく、その後の心構えや休み方についても示唆に富んだ内容を紹介できた。この話を一ケースとして活用する方がもしいれば、転職活動がスムーズに進むことを願っている。
誰だってあと一回もう一回は転職する時代なのだ。
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