触媒であり、パークレンジャーとしての役割を考える
この記事は、ジンジニアアドベントカレンダー Advent Calendar 2024の16日目の記事です。15日目は、にわさんのHRBPを始める人事の方へ 〜そうだ、スクラムを学ぼう〜でした!
前回は採用の話をしましたが、今回は、ジンジニアとしての役割を「触媒」と「パークレンジャー」という二つの視点から考えてみたいと思います。普段の業務で感じることや学びを共有できれば幸いです。
はじめに
転職して約半年。エンジニアリングマネージャー(EM)として、採用支援や技術広報、プロセス改善など多岐にわたる業務に関わっています。そんな中、「触媒」と「パークレンジャー」という二つのイメージを通じて、自分の役割を深く考える機会が増えました。今回は、この二つの視点から、ジンジニアとしての日々の学びを共有したいと思います。
触媒としての役割
触媒とは、化学反応を促進する存在でありながら、自身は変化しないものです。この触媒の特徴が、私自身の役割と重なる部分があると気付くようになりました。
たとえば、AWSのインフラを整備したり、CI/CD環境を構築することもあります。これらは直接成果を生むわけではありませんが、チーム全体がスムーズに動けるようにするための土台を築く作業です。触媒として、環境を整えたり、プロジェクトの進行を後押ししたりすることは、まさに私の役割の一部だと感じています。
ただ、触媒として動く中で、ある課題にも気付きました。例えば、リソースを整えただけでは、メンバーが実際にそれを使いこなせるわけではありません。そこで、「自分の役割は、ただリソースを置くだけではなく、それをどうつなげるかを考えることだ」と考えるようになりました。触媒の例えを借りるなら、点と点をつなぎ、流れを作る接着剤のような役割です。
さらに最近では、「どこまで手を動かすべきか」「どの時点で手を離れるべきか」を見極めることも重要だと感じています。触媒としてチームを支える一方で、自分がボトルネックにならないようにする。そのバランスを保つことが、触媒としての私の課題でもあり、少しずつ掴みかけている部分でもあります。
パークレンジャーとしての視点
触媒が「点と点をつなぐ」役割だとすれば、パークレンジャーは、その「つながり全体を俯瞰的に見て調整する」役割だと考えるようになりました。
パークレンジャーは自然環境の保護や維持を担い、必要なときには手を加える存在です。この役割をチーム運営に置き換えると、環境そのものに目を向け、全体が持続的に機能するよう整えることだと思います。ただし、単に整えるだけでは十分ではなく、それが本当に必要な手入れなのかを慎重に見極める必要があります。
例えば、パークレンジャーは森の道を整備するとき、手を加えすぎず、自然の調和を崩さないように配慮するそうです。同じように、チーム運営でも整えすぎず、自立と成長の余白を残す加減が求められると感じています。
実際、以前ある課題に取り組んだ際、チーム間だけで解決できると思っていたことが、組織全体のつながりを考慮する必要があると気付いたことがありました。そのときの私は、つなぐことばかりを意識しており、つながりそのものの必要性を俯瞰して見極められていませんでした。適切な情報が不足していたり、前提がズレていると、むしろ逆効果になることもあります。触媒として手を動かすことで視野が狭くなり、俯瞰的な視点が欠けてしまうことに気付かされた瞬間でした。
こうした経験から、パークレンジャーとして大事なのは必要以上に手を加えず、自然と調和する環境を支えることだと考えるようになりました。チーム運営においても、過剰な介入や、自分の手応えを求めるあまり整えすぎてしまうと、チーム全体の自立や自然な成長を妨げることがあります。そのため、連携を適切に見極め、必要な調整だけを加える視点が求められます。
また、これには自分自身の「余裕」も不可欠です。触媒として手を動かし、全体を整えようとする中で、自分のリソースが不足すると、視点が狭くなり、必要な判断が鈍ってしまいます。パークレンジャー的な役割を果たすには、自分自身が適切な「間(ま)」を持ちつつ、全体の調和を見守る余白をつくることが重要だと実感しています。
つながりを俯瞰的に捉え、必要な調整を加えながら、自分にもチームにも適切な余白を持つ環境を整える。それが、私が模索しながら目指しているパークレンジャー的な役割です。
さいごに
触媒としての「つなぐ」役割と、パークレンジャーとしての「全体を整える」視点。この二つは、それぞれ独立しているようでいて、実はお互いを補完し合うものだと感じています。触媒としての即応力が全体の流れを生み出し、パークレンジャーの俯瞰力がその流れを支える。この両輪が揃うことで、チームが持続的に成長する道筋に寄与できるのかもしれません。
ジンジニアな立場では、組織全体とそこにいる人々を見ながら、必要なリソースを整え、時には手を動かして環境を支える役割が求められます。まだまだ模索中ですが、この二つの視点を通じて、チームや組織がどう動き、どう成長していくかを考え続けていきたいと思います。
と、綺麗にまとめましたがめちゃくちゃインポスター症候群におちいっています!組織とシステムを考えながら支援するのはむずかしいですよね。ひとつひとつできることを積み重ねていくのみです。