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精神保健福祉士・社会福祉士を目指す方からの質問にお答えします!

はじめに

1、精神保健福祉士と社会福祉士の主な仕事を『相談援助』の仕事と仮定して質問にお答えします。

2、専門とする分野は、『障害福祉』分野です。『困窮者支援』にも携わったことがあります。

3、経験した事業形態は、相談支援事業、グループホーム、就労継続支援、就労移行支援、生活介護、放課後等デイサービスの経験があります。

4、携わってきた障害種別は、精神障害・発達障害・知的障害です。

5、クライエントの年齢層は、4歳~80歳位まで幅広いです。

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質問①.社会福祉士・精神保健福祉士として心がけていることは?

いつも『こころにゆとり』を持っておくことを心がけています。

理由は、余裕がないと虐待リスクや発病リスク(自分の)が高まるからです。

例えば、クライエントの激しい情動、自分に湧き上がる感情、これらを転移・逆転移の現象として俯瞰できなくなるからです。

また、現場に出ると、クライエントの都合を優先することが増えます。余裕がない時は、どうしてもぞんざいな対応をとってしまうものです。

いずれのケースでも、余裕があれば自分のスキルを活かして、その場に相応しい支援を提供できます。

いくら専門職としての知識・スキルがあったとしても、それを活用できなければ意味がありませんので。

という訳で、いつも『こころにゆとり』を持っておくことを心がけています。

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質問②.福祉現場・現状の課題点や改善すべきだと思う点は?

スタッフみんなの『働きやすい職場づくり』が改善すべき点です。

理由となる課題は2つあります。

ひとつ目の課題は、業務の二度手間・三度手間が横行していることです。

モノを探す・記録を書く・行政の手続き・イベントの開催など、仕組みとルーチンが定着しておらず、せっかくよい前例があるのに応用できていない… という課題があります。

この改善方法として、職場の5S運動やタスク&スケジュール管理があげられます。

5S運動とは『整理・整頓・清掃・清潔・しつけ』のことです。タスク管理とは『やること管理』、スケジュール管理とは『いつやる管理』のことです。

これらをチームで取り組み、無駄な業務時間を減らし、支援業務に注力できる時間をいかに確保していくかが大切だと考えます。

ふたつ目の課題は、メンタルを崩すスタッフ仲間が多いことです。

福祉の仕事は『感情労働』なので、一般の仕事よりもバーンアウトしやすい仕事だと思います。

万が一、うつ病を発症した場合、メンタル不調は復帰の時期が予測しにくいことから本人は焦りますし、残されたスタッフも「いつまで踏ん張ればいいのか…」と、お互いに終わりの見えない不安を強いられる。という課題があります。

この改善方法は、会社の組織的なフォロー体制をつくることだと考えています。(試行中です)

メンタル不調者へは会社のケア担当を付け(利害関係のない人)、速やかに無料カウンセリングや産業医へつなぐ。休みが必要ならすぐに休んでもらい、応援や派遣などでヘルプスタッフを速やかに配置する。

このように組織的なメンタルヘルス対策を構築することで、早期発見・早期回復・早期復帰を目指した組織的なフォロー体制をつくることが賢明だと考えています。

という訳で、スタッフの『働きやすい職場づくり』が改善すべき点になると思います。

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質問③.社会福祉士・精神保健福祉士に必要な力とは?

『知識と経験をつなげて』成功の実感を積み重ねることが必要とされる力だと考えます。

理由は、倫理綱領にもある『専門性の向上』こそがこの仕事の大半を占めると感じるからです。

例えば、病気・障害の発症メカニズムや基本的な治療・支援方法も知らずに支援すると、再発や悪化を繰り返し、クライエントには長期間、不毛な時間を過ごさせてしまいます。

また、医療・福祉制度や社会資源を知らないと、クライエントは良質なサービスを受けることができなくなり辛くなります。支援者も、自分たちだけで問題を抱え続けることになり辛くなります。

辛い状況が続いたクライエントは、それから逃れようと行動が激しくなります。首を絞められたら暴れるのと同様に、苦しいと行動は激しさを増すものです。

このように、クライエントのいわゆる不適切な行動がエスカレートしてくると、支援者は対応することがとても困難になります。

さらに、病気や障害からみた特性、生育歴や社会モデルからみた認知・行動特性をとらえておかないと、不適切な行動を起こす理由が分からずに、クライエントをただの変人扱いしかねません。

リフレーミングのためのストレングスモデルも大切で、強みの全てを関係者全員で見える化してアプローチすることも重要なポイントです。

このように、『生物心理社会モデル』にくわえて『ストレングスモデル』を活用し、クライエントを全人的にとらえていくことが相談援助には不可欠だと考えます。

そして、実際の相談援助のスキルも大切です。
私の場合は、『バイスティックの7原則』を支援の指標としつつ、動機づけ面接法を技法の柱としています。

これらを自分の担当ケースに当てはめながら、まずは実践して、SVを受けたり、事例研究を重ね、理に適った支援を探り、繰り返し実践していきます。

そして、実感の伴った成功体験を積み上げることで、自分の支援の『型』と『幅』を かたち創っていきます。

という訳で、『知識と経験をつなげて』成功の実感を積み重ねることが必要とされる力だと考えます。

ぺー助(決定)


質問④.社会福祉士・精神保健福祉士を目指す前にやっておくことは?

『試験勉強』をしまくることと、『就職する分野』を決めておくことがポイントかと思います。

『試験勉強』をしまくる理由は、どちらかの資格を持っていれば、求人の選択肢が広がるからです。

両方とも名称独占の資格とはいえ、事業所は報酬を『加算』で評価されたり、実は『業務独占的』な職務もあります。

たとえば、地域包括支援センターでは 社会福祉士 が必置だったと思いますし、都内の障害者グループホーム(通過型)では 社会福祉士 or 精神保健福祉士 が必置です。他にも業務独占的な職務は多々あると思います。

とにかく試験勉強しまくって、とにかく資格をゲットすることは就職活動を有利に進めるポイントになります。

次に、『就職する分野』を決めておく理由は、福祉系 or 医療系 or 教育系 など、どこで働くかを決めておくことがキャリア形成の近道になるからです。

自分の将来のビジョンを早期に描きながら、その分野でのコネクションをつくっておくことができれば、就職活動にかなり有利だと思います。

これは就職後に起こる理想と現実のギャップに悩まなくてもすむ という意味でもオススメです。

たとえば、ウチの会社の場合、学生さんがアルバイトでつながりながら、卒業にあわせて正社員としてそのまま就職するようなケースもあります。

会社同士のネットワークもあるので、公開されていない求人情報をゲットできる可能性も高まります。

という訳で、『試験勉強』をしまくることと、『就職する分野』を決めておくことがポイントかと思います。

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質問⑤.社会福祉士・精神保健福祉士のやりがいと苦労する点は?

やりがいは、『知的好奇心』がくすぐられ続ける点です。

困っている人を目の前に、ただただ自分の無力さを痛感する日々です。

そして、ダメだった部分を学びなおす訳ですが、本当に知らないことだらけで、色々な知識や支援方法と出会いまくります。無限に成長の可能性を感じられるところはやりがいにつながります。

一方、苦労する点は、『一年中 人間関係』のことを考えている点です。

相談援助は『感情労働』の代表です。

クライエントとの関係性、職場での人間関係、関係機関との調整、保護者との調整など、多くの時間を人間関係のことで奪われます。自他の境界が滲んで疲弊していくことになります。

ただ、なぜか、福祉業界に入ってくる人は多いのですが、福祉業界から一般企業へ出ていく人は少ない気がします。

ってことは、福祉業界は魅力があるってことなんだと思います。

ちなみに、私はいま、他の業界で仕事することは考えられません。

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質問⑥.社会福祉士・精神保健福祉士を通して勉強になったことは?

なんといっても『自己理解』の深まったことが勉強になったことです。

最初は目の前のクライエントのために勉強をしているのですが、いつの間にか自分のための勉強になります。

例えば、パーソナリティの形成は青年期までに確立するといわれています。

パーソナリティの著しく偏ったケースと出会った際は、その認知・行動特性を理解するため、改めて生育歴を振り返りながら認知形成や行動定着の歴史をとらえていきます。

なるほど…そういうことなのか…と理解につながりますが、「ところで自分はどうだったんだろう…?」と、自分自身の認知の偏りや生育歴が気になってしまいます。

そんなこんなで、私は何度も人生の棚卸しをしたり、心理テストを受けたりしました。(この前、WAISを受けて処理速度のIQが84でした。苦しみの原因はコレかなぁ… などと)

そして、ようやく自分の価値観と他人の価値観の違いについて、「本当に違うんだ…」と、府に落ちはじめています。44歳です。すごく時間がかかりました。

さらに成長のためには『自分が変わることこそ最善』なのだと腹の底から理解することができました。

本当に日々勉強になります。
でも、自分を変えることは難しく苦しいことです。

ただ、自分にできないことをクライエントに薦めるわけにもいきません。

自分も同じような課題と悩みをもち、解決に向けて努力していること、少しずつでも変われていること、そういった経験をクライエントと共にさせてもらっていることが何よりの勉強になっていると感じています。


さいごに

私は、もともと「福祉の仕事をしたい!」という志がなくこの業界に入ってきました。

人にもあまり興味・関心がなく、資格にもあまり興味がありませんでした。

そんな中、知り合いに無理やり申込をされて、はじめて取得した資格が『精神保健福祉士』です。

嫌々ながらも勉強をすすめていくと、今まで関わってきた人たちの不可思議な言動の理由が分かって来ました。

とくに、統合失調症の陽性症状の原因について、ドーパミン仮説を精神科医の授業で聞いたときはナゾが解けた気分でした。

本当に人に興味・関心がなかったので、「なるほど…」と妙に納得して、ある種の感動を覚えたのは不思議な感覚でした。

それから人についての疑問をもちはじめ、本を読んだり、研修に参加したり、人に質問しまくったりしていくなかで、ドップリとこの業界にハマってしまいました。

この仕事は本当に魅力的な仕事だと思います。

精神保健福祉士・社会福祉士を目指す皆さま、生活と試験勉強の両立が大変なことと思います。

なんとか乗り越えて、ぜひ資格を取得していただきたいです。

そして、この魅力的な仕事に就いていただきたいです。

では、一緒の業界で働けることを楽しみに待っています!

アディオス・アミーゴ

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