aiko「帽子と水着と水平線」
最っっっっっ高のサマーソングに出会ってしまった。
とにかくキュートで甘い、aikoの「帽子と水着と水平線」だ。
aikoのデビュー25周年を記念し、歴代のアルバム8点がアナログレコード化された。音楽に関してはまだまだ知識が浅いが、2年前くらいからレコード集めをしている。レコードを取り出して乗せ針を落とす、という作業や少しプツプツするアナログな音が、検索してすぐ流れてるサブスクを利用するのとは違う音楽の楽しみ方ができる。曲自体はもちろん、曲を聴くまでの作業やそれを聴いている時間を楽しんでいるような感覚がする。こうやって状況に合わせて色々な音楽の楽しみ方をできるのは今の時代のいいところだと思う。
aikoのレコードが発売されると聞いて、レコード歴は浅いながら飛び上がった。あのaikoをレコードで聴けたなら、私のクオリティーオブライフは爆上がりに違いない。プツプツとするaikoのラブソングを想像しただけでスキップしたいくらい。どれにしよう、迷いながら購入ページを見てみるが、一番お気に入りのアルバムはその時点で売り切れていた。いや、aikoならどのアルバムも名盤だ。残っていた中から、割とお気に入りランキング上位の「彼の落書き」が挿入されている「暁のラブレター」を選んだ。ジャケットのメリーゴーランドも可愛い。
来てからの楽しみにしようと思っていたが、予習がてらアルバムの曲を聴いてみることに。今から一丁前にaikoの曲について語るわけだが、恥ずかしながらまだ全ての曲を聴ききれていない。このアルバムにも聴けてない曲がいくつかあった。今年は大好きな夏を思いっきり楽しむべく可愛い水着を新調した私は、水着というワードに思わず反応してしまった。サブスクはワンタッチですぐに音楽を流してくれる。aikoの可愛いカウントとハッピーな前奏で始まったその曲は、まさに夏。
一瞬で海辺のドライブに連れて行ってくれた。
————流しっぱなしのラジオから流れてくるのはこの前奏。私は助手席に座り、外を眺め曲に合わせて頭を揺らしている。隣で運転する誰かに引かれてはまずいと思って、本当は全身を大きく動かしたい気持ちを抑えているのか動きは控えめ。隣の知らない誰かは全開の窓に肘をかけ、片手でハンドルを握りながらその指先でリズムを取っている。普段aikoは聴かないらしいがこの曲に思わず体を持っていかれて、指先から漏れ出ているのかもしれない。aikoに乗っ取られている彼がおかしくて、嬉しくて、愛おしくて……
とベタな妄想が捗るくらい、私は一瞬で引き込まれた。
出会った、この夏の一曲。
CDではなく、ラジオという方が似合っている気がする前奏。夏っぽい音が入っているわけではないのに、夏の高揚感を感じるこのリズムはなんなんだ。音楽ミーハーには説明できない。タイトルが作用しているのか。とにかく夏っぽい。色褪せないラブソングを生み出し続けるaiko、もちろん歌詞も少女漫画のようなときめきがある。「目指す空の下色違いの指先」この歌詞なんかは焼けて健康的な男の子の肌と、真っ白な女の子の肌のコントラストを想像させるし、「背中の水着の後もう一度焼き直そうか」なんかはまさに夏。女の子の背中に写る色っぽい線が浮かび上がる。急に落ち着く曲調もあいまってピュアなラブソングの中に少し大人な雰囲気が出る。私の中の男子高校生もソワソワしている。
これが夏の終わりに私の元へ届くのだ。そんなことを考えたら、ゾクゾクして外は気温35度なのに鳥肌が立ってしまった。間違いなく今年1番のナイスバイ。今年はいつまでも夏を引きずってしまいそうだな…と思いながら、レコードでは叶わない、リピートボタンに指を落とした。