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混迷の時代、「地域に根差した知的労働者」を選ぶ方々へ #1-2

ブルー・マーリン・パートナーズ株式会社は、人々のあたらしい暮らしを支える産業と社会システムを創造する事業創造ファームです。本マガジンでは、「つながりと物語をはぐくむ地域のつくりかた」に焦点を当て、知見をお届けいたします。

ボーダレスワールドからバーティカル・ワールドへ

大変革の時代において個人の能力だけで生き抜くのは至難の業であり、豊かさを得ることも難しいと伝えてきた。これからは、3つの世界どれかに依存して生きるのではなく、3つの世界それぞれにおける自身のスタンスを確立し、連携させていくことが重要である。

自身にあう土地を見つけ、周囲の人と協力しながら、地域にあった「シェアリズム(人や自然との良い関係を築く)」→ 「キャピタリズム(価値が生まれ交換される)」→「ヴァーチャリズム(日本初世界一の何かとして認められる)」を構想し、再開発してゆくのだ。

この世界観の変化を、私たちは「ボーダレスワールドから、ヴァーティカルワールドへ」と題している。

これまで私たちはキャピタリズムにおいて、「ボーダレスワールド」というコンセプトに則って活動していた。アフリカで収穫し、アジアで加工、中東に集積し、アメリカに輸出するという形である。

コストが低い地域で生産し物価の高い場所で売る様式は、輸送にかかる二酸化炭素排出によって生じる地球温暖化や児童労働など、数値化されづらく生産者が担う必要のないコストは軽視されてきた。地表の資源は枯渇し、社会的・自然環境的問題が頻出するようになったのだ。

ボーダレスワールドの問題点が表面化する中で、出てきたのがバーティカルワールドという考え方である。これは、山や川などの自然地形によって区切られたエリアごとに地殻・地勢・気候・文化・生活・産業・制度など積み重なって存在する多層的な特性を紐解き、そのエリアの核となるコンセプトを以って、地域を再構築するという考え方である。

ボーダレスワールドは富を生み、バーティカルワールドは豊かさを生む。

近年、都市のホワイトカラーが地域開発に興味を持っているのは、地域に根ざしそこから資本主義やバーチャルの世界に伸びていく方が豊かさを担保すると直感的に理解しているからであろう。

私達の提案 – 地域に根ざす知的労働者としてのキャリア

かつて私たちは、安定したシステムの中で構想する・稼ぐ・与える・養う・(歴史)を績ぐ・整えることをすべて1人で担う平均的な人材になることを求められてきた。

しかし社会システムが崩壊し、新しいものをゼロから作り直すことが求められるようになっている現在においては、自身の価値が最大化されるところに特化して他者と協力していく方が、新しいものを生み出せるように思う。

この本は、このうち「構想する」「稼ぐ」ことに特性を持つ人たちに向けて作成している。

地域では、多様な人々がそれぞれの関心領域と時間軸を持ち活動している。その全てが必要不可欠だが、これまで地域のシステムを保全し運用することに焦点が当てられていた時代が長く続いている背景から、「構想する」「稼ぐ」人たちはマイノリティであろう。実際、地域において知的労働者が不在で、都市圏のコンサルティング会社やシンクタンクによる支援・そして地域から都市への資本の逆流の構造には、問題視されてきた。

しかし、これからの100年後の日本に豊かな暮らしを残していくには、地域に知的労働者は必要不可欠である。なぜなら地域開発は、地域ごとに地質から地層、気候、生活、文化、産業に至るまで多層的に分析したうえで、統合的なコンセプトを立案し、再度それぞれの要素を再設計し、構築していくという膨大な工数と時間、関係者が必要であるからだ。

一般に地域開発は足掛け数十年かかると言われており、ともすれば自身の生涯で構想から実現まで達成しない可能性もあるだろう。だからこそ、地域に関わる方々が参加するコンソーシアムを樹立し、その組織に資本や知見をためながら長期的な開発体制を構築することが求められる。

これは、企業価値の向上という文脈において、現状を分析し、資源の分配を行いながら、開発を推進してきた経験をもつ私たちが、得意とする領域である。都会にいる時よりも、変数が多く複雑なため、難解に感じることもあるかもしれない。しかし、人々の今後100年の暮らしの基盤を作ってゆく仕事は、つながりを感じながら貢献し、地域全体のリターンを最大化する仕事であり、難易度に応じた十分なリターンを感じられるだろう。本書が、「地域に根差した知的労働者」たちの一助となるなら嬉しいと思う。

(次に続く)

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