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はじめてのウインナーコーヒー (福岡/大濠公園駅 珈琲フッコ)
あるあるだと思うのですが、ウインナーコーヒーって、ウインナーが煮えられて放り込まれたものだと勘違いしていました。
初めてウインナーコーヒーと出会い、ウインナーの意味を理解したのは22歳の冬、ここ珈琲フッコでの出来事。
地下鉄に乗って大濠公園駅に降り立ち、ハイソな雰囲気の女性やスポーティーな格好の男女、何とも賢そうな犬を横目に、信号を一つ渡り、大手門第一法規ビルのある角を曲がると、小さな路地です。この小さな路地に、フッコはそっとあります。
木の看板に珈琲フッコとあります。写真はフッコのコ。お隣はタコス屋さんだと思います。
お家のドアみたいな、少し開けるのに勇気のいるドアを開くと、手前には自家焙煎のコーヒー豆がガラス瓶でずらっと。5人ほど座れるカウンター奥のキッチンから、ちっちゃくて可愛いマスターが、「いらっしゃい」と声をかけてくれます。
私は人見知りなので、お店に入ってから、もう少し奥のテーブル席に座ります。第一候補は、壁の凹みにすぽっとはまっているような2人掛けの席。そこがだめなら、窓際の奥側でしょうか。
健全な薄暗さのある店内で、おそらくマスターの趣味である音楽が、思った以上の音量で流れています。時々会話に支障が出るくらいの音量です。CD1枚分が流れて音が止まると、いそいそマスターが新しいCDに取り替えます。このタイミングでは、注文そっちのけな感じも落ち着きます。
メニューを上から順番に眺めていきます。コーヒー豆は自家焙煎しているので、種類も豊富。アレンジコーヒーも多様で、紅茶もあります。食べ物もあって、サンドイッチ、ホットサンドやケーキ、クッキー、生チョコなんかもあります。
22歳の私は、とにかくコーヒー豆ごとの味の違いを知覚することに必死だったので、毎度違う豆のコーヒーを注文していました。けれど、その日はブラックコーヒーな気分でなく、何かないかとアレンジコーヒーのページをちらちら眺めます。
そういえば、ウインナーコーヒーって何だろうと思いました。
恥ずかしながら、ウインナーコーヒーを知らないまま成人した私は、カフェよりも喫茶店が好きだのなんだの曰っていた割には、アレンジコーヒーの名前を見ても、いまいちピンとこないような体たらくだったのです。
スマホで調べるのも癪だったため、とりあえず頼んでみることとしました。もし苦手だった時のために、と保険で1つ90円の生チョコも2つ頼みました。
その日は、色んなお客さんがきていました。マスターと顔馴染みっぽいシュッとした中年と、その連れは精悍な顔の外国の方だったり、若い女性のグループだったり、1人でピザトースト片手に読書する若い男性だったり。
隣の若い女性のグループの会話を盗み聞きしながら、頬杖をついてウインナーコーヒーの到着を待ちます。右斜め前に見えるマスターの動きで、あ、いま私の生チョコを冷蔵庫から取り出したな、だとか、私の分のコーヒーを入れているな、だとかを感じて、ついそわそわ。もうすぐ、ウインナーコーヒーと初対面です。
お待たせーとマスターが持ってきたのは、絹みたいに綺麗なクリームがぽこーっと浮かんでいる可愛らしいコーヒーでした。甘い香りで卓上が満ち、生チョコはいらぬ備えだったなあと悟りました。
ウインナー、どこにあるんだろう。
愚かな私は、ウインナーが入っている可能性を捨てきれずにいました。ティースプーンで慎重に探します。
…そりゃあ、入ってないよな。
自宅に帰ってから調べて、ウインナーコーヒーの「ウインナー」が「ウィーン風の」という意味合いであると知り、恥ずかしくなりました。知ることができて良かったです。
このウインナーコーヒーデビュー以降、色んなカフェや喫茶店でウインナーコーヒーを頼むことができるようになりました。世界が広がって良かったです。
フッコでもう一つ好きなアレンジコーヒーがあります。カフェオミエルです。
はちみつとレモンの入ったコーヒーで、好みの甘さになるまで混ぜていただきます。
見た目も含めとても好きです。ただ、疑問があって、中に入っているレモンを食べるのは、どうなのか。おいしそうなのだけど、恥ずかしいのではと思い食べられずにいます。誰か教えてください。