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『さよなら妖精』著:米澤穂信
はじめに
現在(いま)をときめく大ミステリー作家、米澤穂信。
彼の出世作となったのが本作である。
有名作品だと思われるので、短めに書こうと思う。
ネタバレありなので、ご注意を
というか、こんな文章読む暇あったら『さよなら妖精』読んでください!
騙されたと思って!
本文
本作のポイントはおそらく2つ(主観)
①主人公の焦り
②謎の爽やかな読後感
①
については、ひたすら描写が上手かった。
墓地でのシーンで死んでいった人々の存在を感じ、自分は死ぬまでに何ができるのかを考えたり、
10代という選択肢に満ちた時期、衣食住には困らぬ生活で逆に何をすべきかという悩みが所々で描かれていて、一応私も似たようなことを思っていたので刺さりまくった。それに、他の登場人物がしっかりしていたので、その対比で主人公の思いが際立っている。
余談だが、
米澤作品の高校生はしっかりしすぎていてリアリティ重視の人は敬遠するかもしれないね。
あんなウィットに富んだ掛け合いする10代おる?主人公は等身大な感じがするが・・・。
私はエロと受験の話ばっかしてたな。私はフィクションはフィクションとして見るのであまり気にならなかった。
②
は、米澤作品の例に漏れず(笑)
あんまりハッピーとは言えないエンドだが
ネットの書評では「爽快な読後感」との評判が多く、私もそう思ったが、
ここでは謎めいていた太刀洗が色々吐き出したから説を唱える。
大人ぶって(?)底の見えなかった彼女が人間味を見せてくれた点は、この結末の良いところかもしれない。
冷たく見られがちな彼女もそれを分かっていたが素直な態度は取れず・・・
爆発したのは10代感に溢れていた(少女らしい、ってこと)。
結末の場面、ユーゴスラビアには結局行けなかった主人公守屋と、本性を表した(いい意味で)太刀洗の2人が山中で佇む。
こう書くと格好悪いが、二人がやっと等身大の少年少女になってくれた気がして嬉しかった。
以上
次は、『追想五断章』、『犬はどこだ』あたり書きます。
実は私、米澤穂信ファンだったので。
(米澤さん、お許しください!)
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