外歩きにいい季節だからこそおすすめ!都内パブリックアート巡り
外歩きにふさわしい季節になった。美術館やギャラリーもいいけれど、ちょっと外に目を向ければ、都内には何気なく歩いている通りや場所に、知る人ぞ知るのアートがいくつも存在している。今回は今だからおすすめの、屋外にあるパブリックアートをご紹介したい。
(おまけに懐にも嬉しいし、外なら環境的にも少し安心。でもマスクは必須です!)
活気あふれるファッションタウン表参道の厳かな空間
杉本博司 「究竟頂」「Mathematical Model013」オーク表参道
表参道と言えばファッションの中心地。ハイブランドやモードの先端をまとう人々が行き交う通りだ。表参道に立つそのビルも、一見は商業施設が入る普通のビルに見える。
しかし、脇に入る細い通路があり、そこに目をやれば、いきなり荘厳な風景が飛び込んでくるのだ。通路はビル奥行分。突き当りの上部には、外の光が差し込んでいるかのような光の演出が施されている。中央、高い天井から真っすぐ地上に貫かれているのが、数理模型の作品。
そう、空間まるごとが杉本博司の作品だ。
思わず息をのむその光景は、あたかも教会か神殿の前にたたずんでいるかのよう。背後にある通りの賑わいが一瞬遠のく気がするほどだ。
「究竟頂」とは、京都にある金閣寺の上層階のことで、究極の極楽浄土を象徴するという。中央の数理模型が「Mathematical Model013」。
現代社会のアンチテーゼ? 都市の巨大なゴミ箱
川島貴代美 「work2012」 ホテル東横INN港南口天王洲アイル
埋め立て地として発展している天王洲エリア。近年は水辺のロケーションも相まって、アートギャラリーが多く集まったりと特に注目されている。
ここにあるのが高さ2.5メートルもの巨大なゴミ箱の作品。豊かな生活は消費あってこそではあるが、それに伴うゴミ問題や自然破壊の問題も深刻だ。見ぬふりをしてはならないと、現代社会へ警鐘を鳴らしているようだ。
日常に活力!アートが表現するモダンな鳥居
ダニエル・ビュレン「25 porticos」 お台場海浜公園
こんな風景を毎日の通勤やお出かけ時に目にしたら、きっと元気になるに違いない。グレートーンのビルやマンションなどに囲まれたスペースに、カラフルな25ものアーチが立ち並び海辺まで続いている。
いかにもフランス人らしいエスプリが効いたアート作品。だが、その居並ぶ様も、神社の鳥居のように見える。くぐって進むと神聖な海までいざなわれるのだが、その足取りはしめやかと言うよりは、きっと軽やかなものになりそうだ。
カオスな都会のど真ん中にこそ、の存在
松山智一 「花尾 /Hanao-san」 JR新宿駅東口駅前広場
日本一の乗降客数を数えるという新宿駅の駅前広場に出現するのは、高さ8メートルもの巨大彫刻。
夜の繁華街やショッピング街、首都の中枢をはじめとするオフィス街など、様々な面を合わせもつカオスなこの地にふさわしいモチーフ、表現を突き詰めたという。
近寄ると、施された様々な自然や花の柄などが見えてくるはずだけれど、反射したり映り込んだりよくわからなくなる。これもアーティストの企みだろうか? 彫刻だけでなく床面まで連動しているのが心憎い。
ストリートアートの老舗! 丸の内界隈
三沢 厚彦 「Animal 2016-01B」 丸の内仲通り
パブリックアートの先駆者といえるのが丸の内界隈。もくもくと働くオフィス街のイメージを、最先端のショップやカフェ、アートで一新させた。
ご紹介しきれないほど多くのアートが揃っているので、ここはエリア全部がおすすめ。ぜひチェックして欲しい。
丸の内ストリートギャラリー https://www.marunouchi.com/lp/street_gallery/
最後に
ご紹介したほかにも、都内ではいくつものパブリックアートが見られるスポットが点在している。えっと思うような人気作家のものもある。
また近年は新築のオフィスビルや公共施設内にも、アートスペースや作品を配するところが増えているように感じる。企業とアートを結び付け、結果パブリックアートとして一般にも門戸を広げるシステムまで構想されているという。アートの存在を豊かな文化の象徴と捉えているからこそだと思う。
街中で気軽にアートに触れられるなんて、アート好きとしてはウエルカム。なんとも贅沢で幸せなことだ。
感性の刺激と身体の健康のためにもなりそうな、この季節のパブリックアート巡り、ぜひおすすめしたい。
*作品への感想はあくまでも私見によるものです。