企画者は、右脳と左脳を同時に動かす
◉企画者は、アーティストでもコンサルタントでもない
「企画脳を鍛えるために、どうしたらいいんですか?」
こんなことをたまに聞かれます。自分は特に無意識にやってたので、あまり気にしてなかったのですが、人によってはどうしていいか分からないという方も多いようです。
算数が苦手なら計算ドリルをする。英語が苦手なら語彙力を高めるために単語帳をやりまくる。
勉強なら参考書や学習マニュアルがありますが、企画といった仕事は、クリエイティブ的な仕事から事業計画的な仕事まで、マニュアルもなければ答えもありません。
むしろ、答え的なものを作って、動きながらそれを答えにしていく。
という作業を行うので、一筋縄ではいきません。以前の記事で誰にでもできると言いましたが、ある一定の質と量を担保しようと思ったらもう少しコツがいります。
では、アーティストのように自分の思うがままに考えるだけでは話しになりませんし、コンサルタントのようにロジカルオンリーで理屈で組み立てるべきでもありません。
少なくとも理屈だけで作った企画が大成したことは私の周りではありません。私も何度か理屈と事実のみで企画を実行してみましたが(企画〜実行までは嘘みたいにスムーズ)、行動の途中でどこか引っかかるものがずーっとありました。完全に100パー正しいのですが、論理の底の底で引っかかるものがあるのです。正しさの先、正しさを超えるものとでも言いましょうか。結局その企画は書くに値しない結果だったことは言うまでもありません。
では、どのようにしたらいいのか。ということですが、私が昔から無意識にやっていたことを、ちょうど企画脳について質問されたことをきっかけに最近棚卸ししてみたので少し書いてみます。興味があれば見てみてください。
◉右脳と左脳の行ったり来たりを意識して
初球から意味不明と思われたかもしれませんが、理由はちゃんとあります。
また、私のプロフィールにもこう書いてます。
右脳・左脳を往復しながら、コンセプト開発から商品企画、販売まで。脳内モットーはArt&Science
さらに、右脳と左脳をググッてみると以下のようにありました。
「右脳」大脳右半球。視空間性、非言語性の情報処理を行うと考えられている。左脳に比して直感的で全体把握に優れている。みぎのう。 (三省堂 大辞林)
「左脳」大脳左半球。言語・文字などの情報の処理を行なっていると考えられている。右脳に比して論理的で分析的処理に優れている。ひだりのう。(三省堂 大辞林)
と言うことで、まあざっくりいうと、右脳は、感性などのアート思考、左脳はロジカルな、理屈で筋道をつけて物事を考えていくサイエンス思考と言っていいと思います。
私は右脳派、オレは左脳だから、といった得意不得意が自分の中であると思いますが、ここで大事なのは決して偏らないことです。そもそも人間は普通誰しも右と左と脳みそがあるのですから両方使わないと損です。日頃から脳みその左右を使って、できるだけ思考を行ったり来たりするんです。
と言ってもまだピンときませんね。でも、企画的にはどちらかの思考に偏るのはリスクでしかありません。それをちょっと視点を変えて次から説明してみます。
◉ロジカルシンキングと閃きを併用しよう
ロジカルシンキングは物事を事実ベースで筋道を立てて、理屈フルスロットルで思考するやり方です。各種書籍が出てますので、手法やフレームワークは確立されています。冒頭にも伝えましたが、この思考は正しいのですが、アウトプットはどこかで見たものになりがちです。理由は、正しいということを突き詰めると結局は過去の自社実績か、他社の実績、既存の経験や価値観が判断基準になるのですから当然です。
他方で、閃きは一発逆転を狙えるサプライズはあります。ありますが、あまりに突飛だと単なる思いつきと言われ、誰にも理解されず実行までかなり時間と手間がかかったり、途中で断念せざるを得ないことが多いのです。ちなみに、閃くための完全に確立された手法は残念ながらないと思います。各自の脳のクセに依るということになってしまいます。ただ、確率をあげるためのアクションはあります。それは、知識や情報をひらすら日常からインプットしておき脳内のグーグルに貯めておくことです。一見、自分の分野と関係なさそうなことでもどんどんインプットしておくこと。電車で寝る暇があったらヤフーニュースを見る方がよほど効率的です。インプットはヒラメキの養分です。さすがにインプットがなければ凡人は閃きません。あとは問題意識を脳内の片隅に持ち続けていると、とあるタイミング(人によってはお風呂など)で発露するのです。これが閃きです。
ところがこの2つはそれぞれにメリットとデメリットがあります。ロジカルシンキングと閃き(私はヒラメキシンキングと呼んでます)のメリット・デメリットを整理すると以下です。
いかがでしょう、パッと見てお気づきかもしれませんが、この2つのメリット・デメリットは完全に表裏一体です。ですので、先ほど書きましたように、左右脳を使って、両方を使い分けたり使いこなせばそれぞれのメリットがデメリットを打ち消して完全体になるということです。
ところが、この2つは同じタイミングに一緒に思考するということができません(できる人はおられると思いますがスーパーマンです)。左(ロジカルシンキング)と右(ヒラメキシンキング)を使う順番があるのです。
◉順番は、右→左→右
決して左→右→左と進んではいけません。企画脳としての使う順番は右から左、そして右です。
仮に、先に左だと「正しいけど凡庸なアウトプットを先に作り、それに触発されて閃いて(?)、理屈で淡々と人に伝える・・・」謎すぎます。
あくまでも、最初は右で日々のインプット活動と日常の問題意識から、アウトプットを閃き、それを左で検証、裏付け、反証を行い、面白いけど穴だらけのヒラメキシンキングに、穴埋めをしていきます。それを、多少の理屈も交えながら最終的には熱量や人間力で人に伝えてやる気になってもらいます。
人は、利害が同等とすれば、最終的には理より情で動きます。理屈でうだうだ言ってくる冷たいやつより、多少は荒っぽくても可愛げがある、やる気に満ちている人の方が人が集まるし動く気になるものです。
だから、右→左→右なのです。
順番をまとめると
1、右脳を使ってヒラメキシンキング。面白いけど雑なアウトプットを
2、左脳のロジカルシンキングで、アウトプットの穴を埋め伝達の基礎作り
3、多少の理屈を交えて、最後は右脳をフル活用して人の心情に働きかける
これで、アーティストでもなければコンサルタントでもない。逆に言えばアーティストかつコンサルタントな、企画脳の出来上がりです。
レッツ、ヒラメキシンキング。