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世界をつくった6つの革命の物語
ブルーツ・リーです。
私たちの日常生活にある身近な事柄は、数々のイノベーションの連鎖によって成り立っているようです。
それは一見して関係のなさそうな事柄が、思わぬところで関係して新たな発明を生み、「予期せぬ形で」私たちの生活を変えていく。このように世の中はうまくできていると感じさせざるを得ない圧巻の良書が『世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史』。
本書の冒頭では、花と昆虫、花とハチドリ、といった全く別物の生物でありながら「共進化」により、進化の中で花がハチドリの羽のデザインに影響を与えることを「ハチドリ効果」という視点で人類の進化をみる、知的好奇心を駆り立てる内容となっています。
そして、本書では日常的なものとしてあたりまえ過ぎる6つの事柄=「ガラス」「冷たさ」「音」「清潔」「時間」「光」をテーマに、人類のつくったイノベーションを取り上げています。
今回は本書の中から、思わぬ発明へとつながるきっかけとなった2つのイノベーションを紹介します。
印刷機の発明からつながる意外なイノベーション
グーテンベルクの印刷機が世の中を大きく変えたことは誰もが認めるところですが、この発明が人類の「ある欠陥」を浮き彫りにしたことはあまり知られていません。
その弱点とは「遠視」です。文字がつまった印刷物を手にすることで、多くの人々は自身が遠視であることに気付き、眼鏡の需要が増加しました。
その眼鏡のレンズやガラスの製造技術が格段に向上したことが、顕微鏡や望遠鏡、鏡の発明へと繋がっていきます。
顕微鏡により細胞をみつけてウィルスの発見につながり、望遠鏡によって宇宙についての知識を得て、鏡によって自己を認識し宗教などの概念にも繋がっていきます。
そして、ガラスの進化はここでは終らず、それまでの常識を超えるほどに透明なガラスが発明され、レーザー光線と掛けあわせることによって、地球規模のインターネットを支える光ファイバーが現れました。
現代はガラスによるファイバーを活用した光ファイバーによるインターネット普及と、ガラスでできたスマホ画面によるカメラやSNS活用へとイノベーションが続いています。
グーテンベルクによる印刷機の発明がガラス技術を成熟させ、現代ではインターネットやスマホに繋がっているということです。
冷たい氷がもたらしたイノベーション
寒い国では無価値に等しい氷を、その昔は船で熱帯の国へ持ち込むビジネスが試みられましたが、「氷の保存方法」に課題がありました。
そこで「人口冷却の発明」によって、氷はもちろん食材を保存することへ発展し、そして空気を冷やすクーラーの発明により砂漠など熱い国でも人が移住することができるようになりました。
そして、人口冷却のテクノロジーが現代では精子と卵子の凍結保存に適用され、世界中に何百万人も人も増やしています。
贅沢品であり必需品ではなかった氷の進歩が、砂漠に都市が栄えるようにまでなり、いまでは新たな命とライフスタイルを生むまでにイノベーションが続いています。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
ある分野の発明がまるで違う領域にまで変化を引き起こし、それが現代のテクノロジーに繋がっていることを明らかにしてくれるのが本書です。
私たちが日常生活で何気なく利用している「ガラス」「冷たさ」「音」「清潔」「時間」「光」の6つのテーマでイノベーションの背景にある複雑な連鎖の物語を解き明かしてくれます。
どの章から読んでも好奇心をくすぐるエピソードが満載です。
テクノロジーの進化の歴史を楽しみながら教養を身につけられる、おすすめの一冊です。