【ショートショート】おはぎと黒猫
いつの頃だったか、夜の散歩の途中で、この家に立ち寄るようになったのは。ふと垣根の隙間から見えた縁側に、おばあちゃんが寂しそうに一人座っていた。月を眺めて物思いに耽るその様子から、なぜだか目を離せなくなったオレは、垣根の隙間から庭へと入っていった。
「あら、どこからきたの?どこかのお宅のネコかしら。でも、この辺りでネコを飼っているおうちはないはずね……」
そう言いながら、おばあちゃんはオレをなでてくれた。人を見ても逃げないから、どこかの飼い猫だと思われたのかもしれないが、オ