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映画「グッバイ、レーニン!」を観て

12月30日、「グッバイ、レーニン!」という映画を観た。2002年のドイツ映画で、原題は「Good Bye Lenin!」。ヴォルフガング・ベッカー監督の作品だ。

キャストは、アレックス役のダニエル・ブリュール、クリスティアーネ・ケルナーカトリーン・ザース、ララ役のチュルパン・ハマートヴァなどである。

東ドイツの首都東ベルリンに暮らす主人公のアレックスとその家族。母のクリスティアーネは夫のローベルトが西ドイツへ単独亡命して以来、その反動から熱烈に当時の東ドイツの国家体制に傾倒していた。東ドイツ建国40周年記念日である1989年10月7日の夜に、アレックスは家族に内緒で反体制デモに参加、街中で警官ともみあっていた。それを偶然通りかかったクリスティアーネが目撃。強いショックから心臓発作を起こして倒れ、昏睡状態に陥る。
彼女は二度と目覚めないと思われたが、8か月後に病院で奇跡的に目を覚ます。しかし、その時にはすでにホーネッカー議長は辞任に追い込まれ、ベルリンの壁は崩壊、東ドイツから社会主義体制は消え去り、東西統一も時間の問題となっていた。「もう一度大きなショックを受ければ命の保障は無い」と医師から宣告されたアレックスは、思案の末、母の命を守るため自宅に引き取る。姉のアリアーネや恋人のララをはじめ周囲の協力を半ば強要しながら、東ドイツの社会主義体制が何一つ変わっていないかのようにアレックスは必死の細工と演技を続ける。だが、道路は西側の車が頻繁に通行し、ビルの壁には西側文化の象徴である「コカ・コーラ」の広告が掲げられ、国営小売店は西側資本のスーパーマーケットに変貌していく。
アレックスは映画マニアの友人デニスの協力を得て、「コカ・コーラが東ドイツの国営企業と提携をした」「西ドイツの経済が悪化したことで、自家用車で亡命する西ドイツ人が急増した」といった内容の偽のニュースを製作し、母に見せることで変化を納得させるが、それでも東西統一の現実は着実に近づいていく。
1990年7月1日、東ドイツマルクの通貨交換が開始されるが、預金のありかを母はなかなか思い出せず、ようやく見つけた時にはすでに交換の期限を迎え、紙幣は紙屑になっていた。ドイツ統一は西側主導で加速し、FIFAワールドカップイタリア大会では統一ドイツチームが見事優勝を成し遂げる(史実では優勝したのは「西ドイツ代表」である)
ある時、クリスティアーネはローベルトの亡命が浮気ではなく、自分も後を追うはずが恐怖から挫折したこと。今なお夫を愛していることを告白し、突如容体が急変して入院する。アリアーネは台所でローベルトからの手紙を発見し、二人を会わせるようアレックスに頼み込む。アレックスが手紙に書かれていた西側の住所へ行くとローベルトはすでに再婚して子供も設けていたが、クリスティアーネが危篤と聞いて会いに行く。
アレックスとローベルトが到着する前に、ララから東ドイツ崩壊の真実を知らされるクリスティアーネ。本心では亡命を希望していたクリスティアーネは、アレックスが危惧したようなショックは受けず、アレックスのために、敢えて何も知らないふりを続けた。
アレックスは「芝居」を辞めるため、デニスと今やタクシー運転手となったジークムント・イェーンの協力を得て、東西ドイツが対等の立場で平和統一するという最後の偽ニュースを作り、クリスティアーネに見せる。そして現実のドイツ再統一から3日後、クリスティアーネは息を引き取る。アレックスは幼い頃に遊んでいたロケットの玩具に母の遺灰を忍ばせ、父や姉、友人たちが見守る中、夜空に打ち上げる。

出典:Wikipedia

といった内容。

で、観終わっての感想。

母への芝居は、息子の愛

ベルリンの壁崩壊前に倒れ、崩壊後の世界を知らない東ドイツに住んでいたアレックスの母。その母に対し、アレックスは噓をつきとおす。
友人とテレビのニュース番組を作ってビデオで流すなど、ヒヤヒヤ。
今は売っていないピクルスのビンを探したり、窓から見えるコカ・コーラの広告をごまかしたり、滑稽すぎるほど滑稽である。
でも、その嘘の根底は、息子の母への愛に他ならない。
愛を感じずにはいられないのである。

ベルリンの壁崩壊は、東ドイツにとっては相当な出来事だったことがわかる

この映画を観ていると、ベルリンの壁崩壊は、東ドイツにとっては相当な出来事だったことがわかる。言ってみれば、今まで悪と思っていたものがすべて正になる世界。戦後の日本もこんな感じだったのかもしれない。
ましてや、共産主義から自由主義。そう考えると、日本の戦後よりすごい変化だったのかもしれない。
なので、その出来事を時系列で見ていない母には、確かに刺激が強すぎることがわかる。

母は気づいていたのかもしれない

アレックスの彼女は、この茶番のウソに嫌気がさしている。
そんな中、彼女が母に何かを話しているシーンがある。
それはもしかしたら、これまでの事実を伝えていたのかもしれない。
母はもしかして事実を知っていたのかもしれない。でもそこは映画の中でははっきりとしていない。映画の後半で、母の表情がどうも穏やかにアレックスを観るシーンがある。このシーンで、ボクは母親は事実を知ったと確信した。
共産主義者である前に、一人の母親である。
母は、アレックスの空きが嬉しかったのではないだろうか。
そのようにボクは感じたのだ。

帰ってこなかった父と、母の会話が気になる

壁の崩壊前。西側に亡命した父は母を待っていた。でも、結局は母現れなかったことで、彼は西側で新たな家族を持ち暮らしていた。
そして、そんな父と母が再び病室で2人きりになる。
1時間以上経っても、まだ話は終わらなかった。
2人の間の会話は、映画では出てこない。いったいどういう会話がなされたのだろう。映画の中では、なんてことないシーンであるが、想像を掻き立てるのだ。

ベルリンの壁崩壊を題材にした映画。
でも、政治的な色は薄く、家族愛を感じる映画であった。

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