12月30日、「グッバイ、レーニン!」という映画を観た。2002年のドイツ映画で、原題は「Good Bye Lenin!」。ヴォルフガング・ベッカー監督の作品だ。
キャストは、アレックス役のダニエル・ブリュール、クリスティアーネ・ケルナー役カトリーン・ザース、ララ役のチュルパン・ハマートヴァなどである。
といった内容。
で、観終わっての感想。
母への芝居は、息子の愛
ベルリンの壁崩壊前に倒れ、崩壊後の世界を知らない東ドイツに住んでいたアレックスの母。その母に対し、アレックスは噓をつきとおす。
友人とテレビのニュース番組を作ってビデオで流すなど、ヒヤヒヤ。
今は売っていないピクルスのビンを探したり、窓から見えるコカ・コーラの広告をごまかしたり、滑稽すぎるほど滑稽である。
でも、その嘘の根底は、息子の母への愛に他ならない。
愛を感じずにはいられないのである。
ベルリンの壁崩壊は、東ドイツにとっては相当な出来事だったことがわかる
この映画を観ていると、ベルリンの壁崩壊は、東ドイツにとっては相当な出来事だったことがわかる。言ってみれば、今まで悪と思っていたものがすべて正になる世界。戦後の日本もこんな感じだったのかもしれない。
ましてや、共産主義から自由主義。そう考えると、日本の戦後よりすごい変化だったのかもしれない。
なので、その出来事を時系列で見ていない母には、確かに刺激が強すぎることがわかる。
母は気づいていたのかもしれない
アレックスの彼女は、この茶番のウソに嫌気がさしている。
そんな中、彼女が母に何かを話しているシーンがある。
それはもしかしたら、これまでの事実を伝えていたのかもしれない。
母はもしかして事実を知っていたのかもしれない。でもそこは映画の中でははっきりとしていない。映画の後半で、母の表情がどうも穏やかにアレックスを観るシーンがある。このシーンで、ボクは母親は事実を知ったと確信した。
共産主義者である前に、一人の母親である。
母は、アレックスの空きが嬉しかったのではないだろうか。
そのようにボクは感じたのだ。
帰ってこなかった父と、母の会話が気になる
壁の崩壊前。西側に亡命した父は母を待っていた。でも、結局は母現れなかったことで、彼は西側で新たな家族を持ち暮らしていた。
そして、そんな父と母が再び病室で2人きりになる。
1時間以上経っても、まだ話は終わらなかった。
2人の間の会話は、映画では出てこない。いったいどういう会話がなされたのだろう。映画の中では、なんてことないシーンであるが、想像を掻き立てるのだ。
ベルリンの壁崩壊を題材にした映画。
でも、政治的な色は薄く、家族愛を感じる映画であった。