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映画「ワールド・オブ・ライズ」を観て
11月9日、「ワールド・オブ・ライズ」という映画を観た。2008年のアメリカ映画で、原題は「Body of Lies」。サー・リドリー・スコット監督の作品だ。
キャストは、ロジャー・フェリス役のレオナルド・ディカプリオ、エド・ホフマン役ラッセル・クロウ、ハニ・サラーム役のマーク・ストロング、アイシャ役のゴルシフテ・ファラハニなどである。
世界中を飛び回り、死と隣り合わせの危険な任務に身を削るCIAの工作員フェリス。一方、彼の上司はもっぱらアメリカの本部や自宅など平和で安全な場所から、現場にいる人間を顧みず冷徹な指示を送るベテランCIA幹部ホフマン。そんな生き方も考え方も全く異なる彼らは、多くの死者を出し続ける国際的テロ組織リーダーのアル・サリームを捕獲するという重要任務にあたっていた。しかし、反りの合わない2人は、フェリスがイラクで接触した情報提供者であるニザールをめぐる意見でも対立する。
ホフマンの指示に逆らえずニザールを泳がせていたフェリスだが、自身の身元が漏れる危険に陥り、やむなく彼を射殺する。その結果銃撃戦に巻き込まれてしまい、情報は入手したものの、相方のバッサームは死亡しフェリスも重傷を負う。
やがて、瀕死の状態から立ち直ったフェリスに、ホフマンは淡々と次の指令を出すのだった。ニザールの資料から、アル・サリーム関係者の隠れ家が発覚したのだった。強引かつ非情なホフマンに不満を募らせながら、次なる目的地ヨルダンへ向かう。
フェリスは、ヨルダン情報局の責任者であるハニに協力を仰ぐのだった。信頼関係を築いた彼らだったが、ホフマンの工作によってその友情も壊れてしまう。怒りを覚えたフェリスは、ホフマンに逆らい単独でサリームを追う。
非情で冷酷な世界に嫌気がさしていたフェリスは、治療に訪れた病院で看護師アイシャと出会い、思いを寄せるようになっていく。ところが、アイシャが誘拐される。罠だと知りつつも、指定された場所へ訪れるフェリス。アル・サリームのアジトに連れ去られ拷問を受ける。その、絶体絶命の窮地を救ったのはハニだった。
やがてホフマンと再会したフェリスは、提案された好待遇での昇進と帰国を断る。安全な所で中東を他国だと冷徹に対応するホフマンのやり方こそが対立がなくならない理由だと述べて、CIAを離れ中東に生きる決意を語る。優秀なフェリスを諦めきれないホフマンは、その姿を衛星監視システムで見守るのだが、アイシャの元に訪れるのを見て、監視を外すのだった。
といった内容。
で、観終わっての感想。
机上と現場との温度差
なんだろう。苛立ちを覚える映画である。
その理由は、現場が命がけで仕事をしているのに、本国での指揮官は安全なところでぬくぬくとしているところかもしれない。
現実が見えず、まるでゲームのようにさえ見える。
この温度差が、戦争が終わらない原因なのではないだろうか。
アメリカの傲慢さが見える
アメリカ人が作った映画であるが、”世界の警察アメリカ”をある意味、批判している。そう、人の命があまりにも軽く扱われ、その傲慢さが見えてくる。エドがその傲慢さを演じてくれている。
拷問のシーンに目を背けた
フェリスの拷問シーン。指を金づちで殴る。
思わず目をそむけた。あえてこの残酷なシーンを入れることにより、人と人が争うことの醜さを表現している。
あのシーンを普通に見ることができる人がいたら、逆に怖い。
工作員でなく、人として生きることを決めたフェリス
フェリスは、忠実なアメリカの工作員だった。そして有能であった。
そんな彼が最後に選んだのは、このバカげた争いではなく、愛する女性との生活だった。
それが本来の人間が持つ心なのではないだろうか。
バカげた世界で生きることを止めたフェリスに、共感する自分がいた。