小説のネタ探しになるかも ものがたり風土記 阿刀田高 集英社文庫
ものがたり風土記 阿刀田高 集英社文庫
筆者が、文学に詳しい「市さん」とふたりで各地を巡り、その知に関わる物語について対話しながら考察するという形式で書かれている。
ふたりはまるで芭蕉と曾良の旅を思わせる。 筆者と市さんの博識と推理が興味深く、読み手を飽きさせない。
私は、特に滋賀県、琵琶湖畔に伝わる民話が恐ろしくもあり、面白かった。よく知られている「皿屋敷」も学ぶことが多かった。
物語がどのように作られ、変化して伝わっていくのか、その分析がすばらしい。
大岡政談、シンデレラ、千夜一夜物語、グリム童話など、ストーリーの共通性を巡っての考察は、推理が見事で、読んでいて心地よかった。