【治療日記34】ひたすら寝たら、疲れはとれたけど
10月23日に1泊入院で、11回目のキイトルーダの点滴を受けた。気づいたらもう11回目!!早いものだ。
今回は入院前の血液と尿検査で、また「尿蛋白/尿クレアチニン比」の数値が高すぎて、主治医が「うーん」と唸っていた。私にキイトルーダを受けさせるべきかどうか。
最終的に薬剤師さんと相談したところ、この数値でもキイトルーダは問題ないということで、無事に入院できた。
しかし、レンビマはまた「休薬」を命じられた。今回は5日間。休薬して月曜に尿検査だけして、数値が基準値まで下がっていたら再開する。
こうやって副作用とのバランスをとりながら、続けていくしかないのだろうな。
とりあえずキイトルーダは受けられるのでホッとした。
大部屋に入り荷物を整理すると、私はすぐベッドに入って寝てしまった。すぐにお昼ごはんで起こされたが、食べ終わるとまた寝た。
しばらくして点滴で起こされたが、点滴中も寝ていた。終わってからも寝た。とにかくずっと寝ていた。
この間、キャンプに行ってから調子が悪かった。体が動かないのだ。それにいつも眠い。
きっとものすごく体に負担がかかって、戻るのに時間がかかっているんだなと思った。
疲れているなら寝ておけばいいのに、家にいると、どうしても寝たきりになるのが嫌で、家事やら「何か」をしてしまう。体は休めていても、韓国ドラマやアニメをNetflixで見たり、小説を読んだりするから、脳には何かしら刺激があって、本当の意味で休めていなかったのだと思う。
でも、病院は何もすることがない。寝ることに罪悪感もない。それで気が緩んだのか、こんこんと眠り続けた。自分はこんなに睡眠を欲していたのかと驚いた。
いつも入院中に1冊本を読むが、今回は開きもしなかった。それは眠いだけじゃなく、頭痛がひどかったからだ。
また血圧が上がり、185までいった。いつものことなので数値には驚かなかったが、ひどく頭痛がするので怖かった。脳の血管が切れるのではないかと思って。
目の奥から前頭部がガンガン痛む。こんなことは初めてで、怖いよーと思っていたら、たまたま主治医が部屋を覗いてくれた。
どうやら同じ部屋の人が主治医の手術を受けたようで、その人の様子を見にきたついでに私のことも気にかけてくれたようだった。
「もう終わった?」
カーテンを開けて声をかけてくれた。
「終わりました!でも血圧高いし、頭痛い」
そう言うと、心配そうに「あー、そうかー。下がらんかったらちょっと考えるわ」と。
主治医の顔を見ただけで、私はちょっと安心できたし、心強かった。
その後、看護師さんが薬を1錠持ってきてくれた。いつも飲んでいるのより強い降圧剤らしい。飲んだら1時間後にまた血圧を測りに来るけど、急に血圧が下がって危ないから、トイレに行く時はついていくからナースコールをするように、とのこと。
飲んでじっと寝ていたら、1時間後には少し頭痛がおさまっていた。
血圧も150台まで下がっていたので、今日はこれで大丈夫、また明日の朝に測りましょうと言われた。
前のように夜中に何度も起こされて測定することがなかったのでホッとした。
そのまま寝た。
とにかくよく寝た1日だった。
翌朝起きたら、頭の痛みは消えていた。ただ、まだ眠い。ベッドに座ってぼーっとしていたら、隣の人が数日前に手術をしたようで、「これから何かを体から抜く」と看護師さんが話しているのが聞こえた。
ドレーンかと思ったが、しばらくすると医師が来たので、ドレーンではないようだ。(ドレーンなら看護師さんが抜いてくれるから)
カーテン越しに聞こえる声を拾おうとしたが、何を抜くのかわからない。
ただ、急に「痛ーーい!!」とその人が叫んだので、ひいっ!と思った。
怖い、こわいよー!何を抜いてるの?
まだ「痛い、痛い」と言っているので、慌てて耳をふさいだ。人が痛がっているのを聞くのは本当に怖い。
カーテン越しなので、想像力全開。
共感力、思い切り発揮。
何抜いてるのーっ!?
いろいろ想像していたら、眠気がなくなった。
みんな、頑張ってるよな……。大部屋にいるといつもしみじみ思う。
10時に夫が迎えに来てくれて、帰りに業務スーパーで買い出しをした。これも以前はできなかったことだ。前は退院したら一刻も早く家に帰って休みたかった。でも今回は業務スーパーにいつまでもいたいくらいだった。あれこれ食材を見ていたら料理熱が湧き上がってくるのを感じた。
でも、帰ったらやっぱり眠くて。
ちょっとだけアニメを見て、掃除だけして、あとは横になっていた。
もう1日休んだら、たまっていた疲れが完全にとれる気がした。
料理をしようとして、かつお節を買い忘れたことに気がついてショックを受ける。
かつお節がないと、何も作れない。出汁がとれないからだ。
顆粒やパックの出汁は常備しておらず、いつも昆布とかつお節でとるので、かつお節は料理には欠かせない。
予定していたものが作れず、サラダと長芋のふわとろ焼きだけになった。
夫はビール事業を始めてから、まるでコロナ禍前のように、ほぼ毎日朝から晩まで家にいない。帰りは終電だ。
この日も私を家まで送り届けるとすぐに出掛けてしまった。だから、ご飯は1人で食べる。昔に戻ったみたいだ。
あー、楽だなぁと思う反面、淋しくもある。
ないものねだりってやつだ。
家にずっといられると嫌になるし、いないと淋しくなる。なんて勝手なんだろう。
この7か月半で私は驚異的な回復をみせ、ずいぶん前に進んだ。
もう少しで日常生活に戻れる。
ようやくここまできた。
でも、この1か月は「良くなった!」とはしゃぎすぎて、思いがけず体には負担をかけていたようだ。すぐに調子にのるのが私の悪いところだ。
あれこれやりたくなるけれど、ちょっとスピードを落とそう。
そういえば、今年も金木犀の香りに出会えた。
いつもより遅かったけれど、あの香りで秋を感じることができた。ちゃんと季節はめぐるのだ。
しかし、嬉しいなぁと思っていたのも束の間、今日見たら、もう枯れていた。
こんなに短かっただろうか?
もうすぐ11月だというのに、昼間はまだ暑いこともある。おかしな気候に体がついていかない。
それに、体調とは関係なく、なんとなく情緒不安定。気候が不安定だと、心まで不安定になるものだろうか。
久しぶりに、夜が淋しい。