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今日の塩サバは脂がのっていたんだ

晩ごはんに塩サバを食べた。
こんがりと焼いた美味しいサバだ。脂がのっていて、食べた後もお皿に脂が残るほどだった。

大満足で食べ終え、お皿を片付けようと手に持ち、キッチンのシンクへ向かおうとした時、どういうわけか壁に衝突し、勢いよく皿を落としてしまった。
皿は割れ、残っていたサバの骨や焦げた皮、そして脂が飛び散った。

家には1人でいたが、普通に「ああー!!」と大声が出た。「うそやん」「マジか」とも。

とりあえず危ないので割れた皿をそっと集めてシンクへ運び、それから掃除機をかける前に、飛び散ったサバの残骸を拾った。
急いで油汚れに強いセスキ炭酸ソーダのウェットシートを持ってきて拭きまくり、掃除機をかけて破片が残らないようにした。

しかし、脂シミは残った。

我が家のリビングのフローリングは、私がこだわって、合板ではなく無垢材を使っている。油が落ちたら終わり。必ずシミになる。
かなり時間をかけてこすりまくったが、やはり落ちない。
ほんの数分前まであんなに「脂のっててうまい!」と言っていたサバの脂が今となっては憎らしい。パサパサだったらよかった。なぜあんなにもジューシーだったのか。

いや、それ以前になぜ家の中で壁にぶつかるのか。
よくスポーツの時に「動体視力」という言葉が使われるが、私はこの動体視力というやつが極端に弱いのではないかと思っている。
だから、運動神経が悪いのだ。
だから、ボールを受けたり打ったりできないのだ。
モノと自分の距離が測れないから、よく転ぶし、よくぶつかる。
いつもなぜか知らない間に脚や腕に内出血の青あざができている。
住み慣れた家の中でもなぜか壁に衝突するのだ。

いや、今さらそんなことを言っても仕方がない。
ただ悔しい。
人にとったら、些細なことかもしれないが、実はかなり落ち込んでいる。
床のシミも頭を抱えるほど嫌になるが、お皿を割ったことも辛い。
自分で割ったのは何年ぶりだろう。
うちの器はほとんどが作家もので、二度と手に入らないものばかりなので、いつも扱いは慎重になる。
この間書いた銅のケトルと同じく、27年前に買ったものも多い。今日割ったのもそれくらい前に買ったもので、使いやすい大きさだから使用頻度も高かった。
それこそお金を出して買えるならまだいいが、売っていないので、割れたらさよならだ。
値段も高いが、20年以上使っていたら、もう値段がどうとかいう問題ではない。
欠けただけなら金継ぎという手もあるが、今回は木っ端微塵ってやつだ。どうしようもない。

お皿は割れ、床は脂シミだらけ。
これが憂鬱にならずにいられようか。

今日は何かnoteを書こうと思っていたが、そんな気力もなく、長い間うなだれていた。
そして今、布団の中でシミを見ながら、自分への戒めのためにこれを書いている。
明日もう一度、床だけでもマシにならないか手を尽くしてみよう。
皿はもう二度と割らない。
壁にぶつかっても、ひっくり返っても皿から手を離すものか!

壁にぶつからないという決意は、たぶん無理だからしない。

濃い色の点々がサバの脂

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