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七草パスタとガン封じのご利益を信じよう

私には七草粥を食べるという習慣はない。
実家はあまり行事を重んじない家だったので、子どもの頃からそういう四季折々の風習めいたことを経験することなく育った。

1月7日に七草を食べると、その一年を無病息災で過ごせる、という話は知っているけれど、実際にやってみたことはなかった。

しかし、今年、あるところから「七草セット」をいただいてしまった。

七草セット


こういうものが売られていることも初めて知ったくらいだ。
世の中のどれくらいの人がこの風習を重んじているのかはわからないが、セットがあるということは、一定数の風習実行者がいるということなのだろう。

昨日、せっかくなので、七草を食べてみることにした。
でも「七草粥」にあまり魅力を感じないというのが正直なところ。
おいしいのか?
いや、たぶんこれは「おいしいかどうか」は関係ないのだ。縁起物なのだから、「食べる」という行為がすべてであって、そこにグルメな欲望などを含めてはいけない。

そう気づき、普通に七草粥を作ろうかと思ったが、七草セットについていたミニ冊子を見てみると、七草粥以外にもいろいろな七草レシピが載っているではないか!
そうか、重要なのは「七草」であって「粥」ではない。好きな食べ方をすればいいのである。
そう気づいて、俄然やる気が出てきた。
(そもそも、お粥さんがあんまり好きではない。手術の後のことなどを思い出すからかもしれない)

結果的に選んだのは「七草パスタ」。
オリーブオイルで切った七草を炒めて、アヒージョの素で味付け。(本当はにんにくと鷹の爪を使うのだが、あいにく家にはにんにくがなかった)
そこに昆布とかつお節でとった出汁を投入。少し煮込んで醤油でさっと味を整えて、ゆがいたパスタを絡めたら出来上がり!

七草パスタ!

夫と食べてみたら、これがなかなか美味だった。
ペペロンチーノに七草を加えた感じ。
出汁が効いているから、具材は七草だけでもアミノ酸が感じられて旨い。

これで一年を無病息災で過ごせる。
細かいことを言えば、すでに「無病」ではないのだが、「病は無くなる」と思えばいいだろう。

ちなみに、今年の初詣は、京都府亀岡市にある稗田野神社へ行った。ここはガン封じで有名な神社だ。

神社には「ガン封じの樫の木」がある。
もともと樫の木は悪病を吸い取る霊木だという言い伝えがあるのだが、この樫の木にはコブがある。つまり、このコブは樫の木のガンであり、このコブを一心になでることによって、その人のガンを封じてくれるという。

ガン封じの樫の木

私はもちろん、一心に祈り、自分のガンのあるところをなでながら、コブをなでさせていただいた。
ご利益があるにしろ、ないにしろ、この樫の木のコブが痛々しくて、たくさんの人の痛みを吸い取ってくれているような気がしてせつなくなる。
優しく、寛大な木だ。

そして、コブをなでた人にしかわからないのだが、コブは手触りがツルツルなのだ。どれだけ多くの人が願いを込めてなでたのだろうかと思うと、それもまた胸を突く。
人の祈りは尊くて、せつないな。

「祈り」というと、20歳くらいの時にカナダのモントリオールの寺院を訪ねたことを思い出す。
足の悪い人に奇跡が起こると言い伝えがあり、松葉杖をついた人がたくさん参拝に来ていた。悪い足で階段を一段一段上りながら、一心に祈りを捧げる人々。その姿を見たときに、初めて「祈りの尊さ」を感じた。人々が姿の見えない神にすがり、ひたむきに祈る姿は美しかった。
私も今はあの人たちと同じように、ただ祈る。

この神社には「お清めの真砂」があり、いただくことができる。これは、護摩木を焚きあげた時に敷いていた砂で、「悪病退散」「癌封治」のご利益があるという。
数年前に友達がわざわざ砂を持ってきてくれて、この神社を知り、それからは自分でお参りしていただくことにした。

この樽から砂をいただく。
勝手にもらっていい。
小皿に入れて、家の玄関辺りに奉る。

これで私の年始の儀式は終わり。
完全にガンを封じたい。無病息災で過ごしたい。
いや、今年こそ完治させるのだ。

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