【治療日記27】体調悪く、キイトルーダは延期
今日は7回目のキイトルーダ点滴のはずだった。
入院準備をして9時半に病院に到着。採血と採尿を済ませて結果が出るのを待つ。
11時半前にようやく名前を呼ばれて診察室に入ると、やや曇り顔の主治医がいた。
「あ、ダメでした?」
なんとなくわかり、自分から聞いた。
「うん、前よりは下がってるんやけど、やっぱりここが」とデータの用紙を赤ペンで指す。
1週間前と同じく、尿に蛋白がおりている。プラス3で、これでは治療を受けられない。他は特に問題はなかったのだが。
「自分でもそうかなーと思ってました。尿が泡立ってたので」
「あー、やっぱり?」
「はい。でも、顔のむくみはとれました」
「そっか、まあ数値も前よりはいいから、良くはなってきてるね。もう1週間様子をみようか」
私がうなずくと、主治医は新たに入院と診察の予約をとり、プリンターから用紙を出す。
薬の処方の話になったので、「このところずっとお腹の痛みが強くて。痛み止めが足りなくなって困ったので、ちょっと多めにください」とお願いした。
「お腹痛いの?レンビマ飲んでないやんね?」
「もちろん。1週間休薬してます。痛みは恥骨とその周りで、日によって場所も変わるし強さも変わるんです」
「うーん、血圧は?」
「ちょっと高めです」
「うーん、なんでやろ。まだ効いてて中で頑張ってるんかな」
少しの間、無言。
「?」
「いや、CT撮ろうかなと思ったけど、とりあえず薬で抑えられてるんやったら、1週間様子見よう」
自分自身に言い聞かせるように主治医は言った。
処方箋を出してもらい、帰ろうとすると、
「良くなってるのは確かやから、ゆっくりやろう」
と最後に声をかけてくれた。
せっかく用意してきてくれたのにごめんね、とも言ってくれた。別に先生のせいじゃないのに。
いい主治医でよかったなぁと今日もまた思った。
また1週間レンビマも休薬。
来週同じように血液と尿の検査をして、数値が良くなっていれば、今度こそ7回目のキイトルーダだ。
落ち込んでもいなかったし、ホッともしていなかった。無の感情。ただ疲れていた。
先週は4日間ずっとお腹の痛みが強くて、気が狂いそうだった。薬も足りなくなりそうだからケチって飲んでいたし、飲んでもあまり効かなくて、何度か泣いた。
夫の何気ない発言にヒステリックになって、わんわん泣いて「もう死ぬ!!」と叫んだり。
痛みで心がすっかり折れてしまっていた。
楽しみにしていた有馬温泉も、すごく素敵なお宿だったのに十分には楽しめなくて。
部屋に金泉の露天風呂が付いているのが救いで、お湯に入っていると少し楽になるので、6回も入った。(記事のトップ画像)
お料理も美味しかったが、私は途中で提供を辞退。
なんとか前菜とお造りは食べられたが、メインの神戸牛すき焼きはお肉を一枚だけ。その後の揚げたて天ぷらは揚げてもらう前に断った。
「残されてもいいので、お味見したいものだけでもどうですか?」と、揚げる食材を教えてくれたので、車海老だけ揚げてもらったが、結局一口食べて残りは夫へ。
豪華なコースのフィナーレを飾る握り寿司は完全に辞退した。せっかく板前さんが目の前で握ってくれるのに。
でも、夫がとても美味しそうに食べてくれたのでよかった。今回は夫の誕生日祝いだったので、夫さえ満足してくれたらいいのだ。
私も温泉にはとても満足したし、良しとしよう。
月曜の14時頃、突然お腹の痛みがほぼなくなった。4日ぶりに痛みがなくなり、それだけで肩の力が抜けるのを感じた。普通の状態がこんなに幸せだなんて。心が穏やかになっていく。
ふと、握り寿司のことが頭をよぎった。痛みに支配されていると食欲もなくなるのに、痛みが和らいだとたんに食べたい気持ちまでよみがえる。
ウニ、アイナメ、ホタテ、神戸牛炙り、車海老。
夫が頬張っていた寿司を1つひとつ思い出し、食べたかったなぁと思う。
稚鮎と水茄子の天ぷらも美味しそうだった。すき焼きだってもっとたくさん食べたかった。
こんなことを考えられるようになったら大丈夫だな、と安心した。
が、それも束の間で、今日はまた朝から痛みが強い。病院で薬をもらってきたこともあり、いつもより痛み止めの量が増えた。それで今度は気分が悪い。(飲み過ぎると胃がやられる。胃薬も一緒に飲んでいるけど)
私の体の中では何が起きているのかな。
がん細胞とそれを抑制する薬が闘っていて、それでお腹が痛むのかな。
頑張れ、頑張れと、お腹をさすりながらエールを贈る。
明日は少しでも痛みが楽になっているといいな。
1週間後は治療を再開できるといいな。
ゆっくりやろう。
ゆっくりでいいんやで。
自分に言い聞かせる。
今朝は栃木に住む親友が、「今年最初に咲いたアサガオ」の写真を送ってくれた。
清楚できれいな色。
気持ちが少し和んだ。
夏はまだこれから。
暑さにも痛みにも負けないように、まずはしっかり食べよう。