1minute七十二候 牡丹華(ぼたんはなさく)
穀雨<末候>
4月30日から5月4日頃
春も深まり、いよいよ牡丹の季節到来です。この美しい花は、晩春から初夏にかけての短い期間、その豊かな色彩を披露してくれます。赤やピンク、白、紫といった多彩な色の花びらが、直径10〜20cmもの大輪で咲き誇り、私たちに春の終わりを彩ります。
牡丹はもともと中国から薬草として日本に伝わりましたが、やがて平安時代には宮廷や寺院で観賞用として栽培されるようになりました。今では、俳句や絵画、着物のデザインとしても人気のモチーフとなっています。その優雅で華やかな姿から「花の王様」と称されることもあります。牡丹と一緒に描かれることが多い小鳥や蝶との組み合わせは、春の終わりを告げる穏やかで美しい景色を表しているのです。
また、この時期5月2日頃は「八十八夜」となります。これは立春から数えて88日目にあたり、多くの人々が夏の訪れを意識し始める日とされています。日本茶の新茶が市場に出回り始める時期でもあり、新鮮な若葉を摘んで作られるお茶は、無病息災や不老長寿の縁起物とされています。「野にも山にも若葉がしげる、あれに見えるは茶摘みじゃないか」という歌詞の通り、茶摘みの最盛期で、お茶好きだけでなく日本に住むならば誰でも馴染み深く楽しみな季節でもありますよね。
春から夏へと移りゆくこの時期、牡丹の花と新茶の香りは、私たちに季節の移ろいを教えてくれます。牡丹の華やかさと新茶の清々しさが織り成すこの季節の魅力を、ぜひ感じてみてください。それぞれが短い季節の花ながら、その一瞬一瞬を大切にする日本の文化が、そこにはあります。春の終章を飾る牡丹の花と、新たな季節の始まりを告げる新茶の香りに心癒される、そんなひと時を楽しみましょう。
七十二候ってなに?
日本には一年を24に分けた二十四節気(にじゅうしせっき)と、さらにその二十四節気を3つずつ合計72に分けた七十二候(しちじゅうにこう)という季節があります。
七十二候は鳥や虫、植物、天候などの様子で季節を表現しており、細やかな自然の移ろいを感じることができます。 骨董・アンティークバイヤーとして活躍する傍ら「古き良きものの美しさや、ものを大切に使うことの楽しみ」もご紹介中。 ここでは ゆとりある心づくりのヒントとして、季節の話題を記しています。
What is 72 micro seasons?
In Japan, nature's rhythmic seasons are deeply cherished, inspiring a fascination with the mesmerizing 72 micro seasons. Unlike traditional divisions of four or six seasons, these micro seasons paint a vivid picture of nature's transitions with astonishing precision. Imagine the thrill of witnessing the delicate blooming of specific flowers, the graceful arrival of migratory birds, the tantalizing ripening of certain fruits, or even the intriguing behaviors of animals. This admiration cultivates heightened awareness of the surrounding world, immersing individuals in the mesmerizing beauty and rhythmic harmony of nature's ever-changing tapestry.
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