物語が聞こえてくるラグ。中目黒 Layoutにて
インテリアをぐっと引き立たせるラグは、自宅で過ごす時間をぐっと豊かにしてくれる。
なかでも、遠い国で生まれたトライバルラグには、その土地や部族が受け継いできた物語が凝縮されている。
インテリアとしてもっとラグを身近に、生活の一部として楽しみたい。そんな想いとともに、中目黒にある「Layout」を訪れた。
※撮影時のみマスクを外しています
イランから目黒川へ
春には、満開の桜を見に来る人たちで賑わう目黒川沿い。華やかなラグを扱う「Layout」は、中目黒駅高架下から2020年10月にこの場所に移転してきた。すでにこの地に根付いているのだろうか、ブランドマネージャーの平井さん・店長の小松さんに話を聞いているあいだも、若い女性たち、家族連れ、中年夫婦とさまざまな年齢層の人たちが入店してくる。
「ここに置いてあるラグは、すべてバイヤーが直接イランで買付けしてきたハンドメイドです。大小合わせると2〜300枚ぐらいになるでしょうか。部族や地域によって、文化や生活も異なるので、デザインバリエーションが豊かなことが魅力です」
種類を知ると、ラグの表情が見えてくる
デザインだけではなく、ラグには「サイズ」や「用途」によって種類も色々とある。毛足が長く、厚みのある「ギャッベ」は、遊牧民たちがどんな地面でも快適に過ごせるよう、分厚く作られているのが特徴的。
「ギャッベの上で本を読んだり、座ったり寝転んだり、床で過ごすことが多い日本のライフスタイルとも相性がいいんです」
この正方形のギャッベなんかは、最近流行しているキャンプやチェアリングに持っていく方も多いんですよ。くるっと丸めて運べますし、比較的リーズナブルなので“ラグ初心者”の方も手に取りやすいですね」
また、豊富な柄が目移りする「トライバルラグ」は、お祈りのための敷物としてはもちろん、ときには食料や家財道具を入れる袋として、イランの遊牧民の生活に欠かせない道具だった。
「ライオンのモチーフのものは、イランが建国される前のペルシャ帝国の国旗として使われているなど、柄のルーツを辿ってみると歴史的にも興味深いんですよ。ほかにも、鳥やラクダなど、遊牧生活で出会う動物が描かれていたりします」
そして、ラグといえばこれを思い浮かべる人もいるだろう「ペルシャ絨毯」。パッと見ただけでわかる緻密なデザインで、いわば“床の上の芸術品”とも呼べる。
「作るのに手間も時間もかかっているため、価格は上がってしまいます。それでも、長く使うために作られているので、耐久性、機能性には富んでいます。一枚あるだけでお部屋を贅沢に彩ることができます」
異国のラグをもっと身近に
Layoutでは、日々のInstagram、また『RUG is Good』と名付けられたオウンドメディアで、小松さんをはじめとするスタッフたちが“ラグ愛”を大いに語っている。知識がない人でも、ラグを身近に感じられるコンテンツがずらりと揃う。
「商品の説明はもちろんなのですが、一風変わったラグを紹介して、皆さんにどれが一番ユニークかを投票してもらう『変なラグ展』など、企画を行うこともあります。どうしても、ラグと聞くと『お金持ちが買うものでしょ?』っていうイメージがあるので、こうした発信を通じて、もっとカジュアルなものだということを伝えていきたいんです」
前職はなんと歯科助手だったという平井さん。ラグの世界に足を踏み入れたきっかけは、「インテリア好きが高じて」というわけではない。日常生活での“意外な出会い”だった。
「NHKのトルコの旅番組を見たときのこと、現地のお母さんと娘さんが絨毯を織っているのを見て、『面白そう、やってみたい!』と思ったのが最初です。すぐに手織りの絨毯教室に通い始めて、実際に取り組んでみたらすごく楽しいし、調べていくと地域ごとに可愛い柄があって……と、どんどん深入りしていって(笑)。タイミングよく、いまのオーナーとも出会い、2016年の会社の立ち上げに参画しました」
風合いの変化が、新しい物語を紡ぐ
縦糸にウールを横に一列ずつ絡ませて、一段終わったら横糸を入れて……という、とてもアナログで地道な作業を経て完成するラグ。密度の高い織りが施されているため、メンテナンスをしていけば、子から孫へと受け継ぐことも可能になる。
「ウールであればお手入れは簡単で、毛の流れに沿って掃除機をかければOK。私の想いとしては、飾るのではなく『使って育ててなんぼ』なので、そこまでデリケートに扱わなくてもいいのかなと。風合いの変化を楽しむのもラグの魅力です」
これまでは、イランまで直接出向き、バザールや職人の家にあるものを直接買わせてもらうという「現地仕入れ」が基本だった。だが、近年のコロナの影響により、それも難しくなった現状がある。
「オーナーが、長らくペルシャ絨毯の卸の仕事をしてきた関係もあり、お世話になっている現地の方と、ムービーをつないでやりとりしながら買付したりしています。良いラグに直接出会ったときの感動もあるので、早く安心して現地に行ける日が来てほしいですね」
ポップアップストアや、ラグに関するセミナーを開催するなど、あらゆる角度から発信し続ける「Layout」。最後に、平井さんに今後の展望を伺った。
「まだ、ここに移転して1年半ぐらいですが、もっと手にとって触れてもらう場所を作りたくて、新店舗を増やしたい気持ちがあります。もちろんオンラインも充実させているんですが、お客様に直接ラグの魅力を紹介することが、私たちにとっても幸せなひとときなんです」
SHOP DATA
Layout
公式サイトではオンライン販売や往復送料無料でご自宅でラグのフィッティングができるOMIAIサービスも。
小松店長をはじめとする、スタッフによるラグ紹介やインテリア例を発信するInstagramや、さらにディープなラグ愛をつづるオウンドメディア「RUG is Good」も必見。
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BLUE WELLMAGA(ブルー ウェルマガ)は「自分だけの心地よい時間」を追い求めるインナーウェルネスマガジンです。
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