他者と生きる努力をしたい 「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」を見て
お盆休みのお供はNetflix「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」でした。
梨泰院クラス以来の韓ドラ完走。
自閉スペクトラム症でありながらIQ164の天才的な頭脳を持つ新人弁護士ウ・ヨンウが、様々な事件を扱いながら成長していくリーガルドラマ。
個人的な視聴ポイントとしては、社会的問題を取り扱い、今韓国が何を重要視して何を課題にしているのかが伝わってくる点が面白かった。
事件の内容は、ジェンダー、子供の権利、学歴社会、男女差別、障害者への偏見など。
劇中に出てくる弁護士、検事、判事なども男女の割合が平等だったりして、そのあたりしっかり意識してるんだろうな、という印象を受けた。
この辺の意識だけ見ても、韓国が日本より進んでいることがわかる。
梨泰院クラスを見た時も思ったけど、
日本との根本的な意識の違いを思い知らされる。
いま韓国のエンタメが伸びている理由はこの「意識の差」にあるのではないだろうか。
よりグローバルスタンダードに近いのは韓国だ。
また、自閉スペクトラム症の主人公、というところで、
「普通ではない」ヨンウに対して周囲の人々はどのような対応をするのか?
というところは一つの見所であり考えさせられるところだった。
素晴らしいのは同僚や友達の存在。
彼女たちはヨンウを特別に扱わず、受け入れ、当たり前のように助け、会話をする。
それは自然に見えるようでいて、とても努力が必要だ。
対照的に、ヨンウに対して敵対心や嫉妬心を抱く同僚もいる。
「ウ・ヨンウは弱者ではない。強者だろ?」
という言葉は印象的だった。
「天才」「人とは違う」と言われるヨンウ。
人は「自分とは違う特異なもの」を排除したがる。
その気持ちは理解できないものではない。
そしてなんと言っても素晴らしき上司の存在。
最初はヨンウに対して戸惑いつつも、
独自の発想と争点を見い出すヨンウの言動に耳を傾け、彼女を認め、受け入れる。
最終話で、上司はヨンウにこう言う。
「私はこう考えるよ。でも君は私とは違う。別人だ。私は君の決断が知りたいんだ」
私たちは地球に生まれた同じ人間という生き物だけど、
一人一人は全く違う孤独な生物だ。
理解し合うことは難しいし、無理に仲良くしようとしたり好きになろうとする必要はない。
でも、共に暮らしたり、共に仕事をしたり、
一人じゃ生きていけない私たちは、
「私とあなたは違う」ということを認め、受け入れ、共に生きようとする努力が必要なんだと思う。
だから「普通」とか「特別」とか、考えるだけ無駄だ。
この世に生まれた人間全員が自分だけの人生を送り、
それが他人には理解できなくても、どんな人生だとしても、
「私の人生は価値があって美しい」
って言える人生であればいいじゃない。
多面的に魅力のあるドラマなので、韓ドラに興味のある方は是非。
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