母の居ぬ間に
日頃の常ではあるが、人生に、生活に、疲れているのである。
そういう時には大体、以下のようなことがやりたくなくなる。
人と話すのがめんどくさくなる
顔を洗うのがめんどくさくなる
外出がいやになる
大体、1-3のどの地点がスタートであれ、この3つは循環する。特にこの時期は「外は暑いから」「紫外線強いからお肌に悪い」等の理由づけにより、さらに強化されるのが特徴だ。
母がアルツハイマー治療薬を服用したのを確認して私は外に出た。
外出するためには、顔を洗うステップが必要で、私はこのステップを楽しむために、美顔用スチーマーを使うことにした。少しお値段がしたが、まあ健全な暮らしを維持するためのツールだから良いだろう。
さて、身繕いステップに成功したら次は、人と話したり、自分がしたいことをしたりする番だ。
ところが、人生お疲れモードに入っている間は自分がしたいことなど考える余裕もなかったのだから、「何がしたいのか」が分からない。
仕方がないから、億劫ながらも「健全な暮らしのため」と足でその答えを探してみることにした。
坂道を歩くのがきついとか、アルツハイマーの母の方が勝手気ままで楽しそうだとか、この間読んだ「アルジャーノンに花束を」の感想とか、様々な思考の流れるまま歩いた。
それで必ずしも答えが見つかる訳ではないけれど、良いカフェには出会えるかもしれない。