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探偵とパラレルワールドへの憧れ
夜の帳が下りた街は静寂の世界に包まれていた。
秋の終わり、深夜の街路樹はほとんどの葉を落とし寒空に裸の枝を突き出している。時折冷たい風が吹き抜け、枯れ葉をカサカサと鳴らしながら運び去っていくその音だけが静寂を破る唯一の音だった。
白い軽バンのシートには数時間にわたる張り込みにうんざりした表情の二人の探偵がもたれかかっている。
探偵A:「なあ、パラレルワールドって信じるか?」手持ち無沙汰で口を開く。
探偵B:「急にどうした? 張り込みの退屈で頭やられたか?」ポテトチップスの袋から最後の一枚をつまみながら首をかしげた。
探偵A:「いや、マジでさ。例えば俺たちがこうしてる間に、別の俺たちは違う選択をして別の人生歩んでるかもしれないって話だよ」
探偵B:「別の俺たちって、お前がもっと頭いいとか? それとも俺が先に出世してるとか?」
探偵A:「いや逆だろ。俺が所長でお前が雑用係とか」
探偵B:「はは、ないない」鼻で笑ったが、少し考え込むように黙り込む。
探偵A:「例えば、パラレルワールドの俺たちは探偵じゃなくて……宇宙飛行士とかどうよ?」畳みかける。
探偵B:「宇宙飛行士? お前、船酔い酷いじゃん」
探偵A:「じゃあ俺たちが忍者の世界にいるとか?」
探偵B:「忍者ねえ。お前は最近腹出てるから隠れられる?」
探偵A:「おい、それ言うならお前だって煙玉投げたら咳き込むタイプだろ」
二人の探偵はくだらないやり取りを繰り返しながらも、少しずつ現実の張り詰めた空気から解放されていく。
外は相変わらず冷たい風が吹いていたが車内にはささやかな笑いがこだましていた。
探偵A:「でもさ、もし本当にパラレルワールドがあるなら、そこには俺たちがバレて依頼者さんがとんでもない目に遭う世界もあるんだろうな」少し真剣な顔になる。
探偵B:「かもな。でもそれを考えても仕方ないだろ。俺たちはここでしか生きられないんだ」目を細めて窓の外を見た。
探偵A:「……まあ、そうか」
探偵A:「でもさ、パラレルワールドの俺たちはこんな長時間の張り込みしなくてもいいような優秀な探偵だったらいいよな」沈黙が少し戻ったのを感じ再びつぶやいた。
探偵B:「なんならパラレルワールドの俺たちが今頃温泉旅館で休暇中とかだったら最高」欠伸をしながら答える。
探偵A:「いやいや、それならパラレルワールドの俺たち探偵やってねえじゃん」
探偵B:「でも、そっちのほうが良くないか?」
二人はふと顔を見合わせる。
張り込み中に自分たちの職業そのものを否定するとはなんとも間抜けな結論だった。
その瞬間、外で小さな物音がした。
二人の探偵は一瞬で真剣な顔に戻り、対象者の居住先に目を向けた。
しかし、音の正体は野良猫がゴミ袋を漁る音だった。
探偵A:「はぁ...」大きな溜息が漏れる。
探偵B:「フッ」肩をすくめて笑った。
探偵B:「パラレルワールドの俺たちならとっくに対象者が外出していて頑張って尾行してるぜ」
探偵A:「……そっちの俺たち、ちょっと羨ましいな」
その後も調査に進展はなく二人は夜明けを迎えた。
少しの笑いとくだらない会話が長い夜をほんの少しだけ短くしてくれたのだった。
終わり
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独身偽装・彼氏が既婚者
— 浮気_独身偽装_失踪@ブルーフィールド (@yokohama_BF) November 15, 2024
結局彼らは素の自分だとモテないのがわかってるから嘘をつくんでしょうね
器の小さな人達です
人様に迷惑をかけるな!
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