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貞操権の侵害

「配偶者ある者の婚姻外性関係は、一夫一婦制という善良の風俗に反する行為であり、情を通じた女性は、夫の妻に対する貞操義務違反に加担する共同不法行為責任を負う。したがって、男性に妻があることを知りながら情交関係を結んだ女性が、そのために損害を被ったとしても、その復旧としての慰謝料等を請求することは、一般的には、民法708条に示された法の精神に反して許されないと考えられる。


もっとも、女性が、男性に妻のあることを知りながら情交関係を結んだとしても、情交の動機が主として男性側の詐言を信じたことに原因している場合で、情交関係を結んだ動機、詐言の内容程度及びその内容についての女性の認識等諸般の事情を斟酌し、女性側における動機に内在する不法の程度に比し、男性側における違法性が著しく大きいものと評価できるときには、貞操等の侵害を理由とする女性の男性に対する慰謝料請求は許される(最二判 昭和44年9月26日民集23巻9号1727頁)。」


「貞操権」という言葉は用いず、根拠条文も示してはいませんが、実質的には最高裁が「貞操権」を認めた判例です。


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