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国道1号線
29歳のソラは横浜市内の国道1号線沿いにあるガソリンスタンドでアルバイトをしていた。
深夜のシフトは客もまばらで、ただただ時間が過ぎるのを待つだけだった。
彼は昔、大学受験に失敗しそのままずっとフリーター生活を送っていた。日々の生活費を稼ぐため、そしてどこにもぶつけることのできない焦燥感を紛らわすためにこの深夜バイトを選んだのだ。
国道1号線を走る車のヘッドライトの光が彼の心をさらに掻き乱す。あの光の先には明るい未来が待っているのだろうか。
大学に行き、良い会社に就職し、結婚して…。
そんなレールに乗ることすら出来なかった自分が人並みの生活なんて出来るんだろうか。
ある夜、一台の高級車がガソリンスタンドに入ってきた。運転席から降りてきたのは歳の頃なら30代半ばの男だった。高級スーツに身を包みいかにも成功者といった風貌。
男は慣れた手つきでクレジットカードをソラに差し出した。
「満タンで」
男の言葉にソラは反射的に給油を始めた。
その時男の携帯電話が鳴った。男は電話に出ると大きな声で話し始めた。どうやら仕事の話らしい。
「ああ、あの件はうまくいったよ。相手もこちらの条件を飲むしかなかったからね。ははは、まあ、そんなところだ」
男の言葉はまるでソラを嘲笑うかのように聞こえた。
自分はここで深夜にガソリンスタンドのアルバイトをしているというのに。男と自分は同じ人間なのになぜこんなにも違う人生を歩んでいるのだろうか。
給油が終わり男はレシートを受け取ると高級車に乗り込み国道1号線に戻っていった。
テールランプの赤い光が闇夜に吸い込まれていく。
ソラはその場に立ち尽くしたまま国道1号線を走る車の流れを見つめていた。
自分はあの車の流れに乗ることができるのだろうか。
それともこのまま路肩に置き去りにされてしまうのだろうか。
夜明けが近づき空が白み始めた。国道1号線を走る車の数も徐々に増えていく。
ソラは深いため息をついた。
29歳のソラにとって、国道1号線は世の中の広さと自分の小ささを突きつける残酷な場所だった。
終わり
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